「生まれて0秒で殺される子」を減らしたい…伊藤孝恵が「子どもの幸福度」が低い日本を変えるために考えたこと
学校のルールを変えられたら、社会を変えられると思える
――私は日本の若い人の政治参加を促すために主権者教育を行う活動をしているのですがと、その中で、やっぱり「学校内民主主義」が大事だと感じています。学校内のルールを変えられた経験があるからこそ、自分たちでも社会を変えられるという実感が持てる。フランスやドイツではそれが法制化されていて、日本にもこれが必要だと思います。伊藤さんは学校内民主主義を法案化する活動をしていらっしゃるので、そこの思いをお伺いしたいです。 伊藤:まさにたかまつさんや皆さんが一生懸命やっているのを見て、私も超党派で呼びかけて、学校内民主主義法案を作ろうとしていて、いよいよ条文化をするというところです。たかまつさんの課題感を私も共有していて、キーワードは「成功体験」だと思います。 最近話題になりましたが、自由な校風の学校の生徒が、自分たちでいろいろなものを変えられると言われていたのに、校長先生が変わった瞬間、「あれもダメ。これもダメ、これは廃止」と制限されるようになった、ということがありました。思春期の子どもたちはあのとき、何を思ったでしょう。校則に法的根拠はないし、校則を変える方法も決まってない。各自治体の判断に委ねられているわけですが、自治体間にも格差がある。それを唯一是正できるのは法律なんです。 いま、「子どもたちの声を聞く」を骨子とした法案づくりを進めています。令和5年4月からこども基本法が施行され、時代は変わりました。子どもたちは自分たちの声を上げ、それを大人たちは聞いて、社会をよりよくしていくという世界になったんです。子どもたちが声を上げたことで、内申書に悪影響があってはいけないというところも担保する、そういう法律を作りたいと思っています。 ――福岡県の古河市で、高校生が市長の相談役になって政策提言をする「高校生リバースメンター」という取り組みを行っているのですが、昨日、その提言会に参加したんです。市長が高校生たちの声を聞いて、「それを政策としてやっていく責務があります」と彼らの前で言う姿に、本当にここから変わっていくんだろうなと感じました。 伊藤:政治参加というと、「立候補すること」「一票を投じること」だと思われがちですが、それだけではないんですよね。リバースメンターもそうですし、今、台湾でやってる「Join」(国民がアイデアの提案や議論が行える行政プラットフォーム)もそうですが、デジタルの力やイノベーティブな政策で政治参加の形を広げていけると思うんです。10代の若いうちに政治参加をして、それが形になっていく成功体験を積んでもらうことは、絶対に日本の民主主義を良質にします。