「生まれて0秒で殺される子」を減らしたい…伊藤孝恵が「子どもの幸福度」が低い日本を変えるために考えたこと
生理の問題を「キワモノ」扱いする国会を変えた質問
――実際に批判から提案が実現できた事例はあるのでしょうか。 伊藤:私は生理に関する政策にも携わっているのですが、いまだにタブー視されているところがありますよね。文部科学委員会で大臣に「生理にかかる法律は我が国で労働基準法の第68条(※)のみ。学生などは労基法の傘の中にいない。子宮がある者すべてに等しく政策が必要では」という主旨の質問をしたら、ある議員の方に「伊藤さんにはそっちのキワモノ系にはいってほしくなかったな」と言われたんです。 ※編集部注:生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合、使用者はその者を生理日に就業させてはならない、と定められている。 ――生理が「キワモノ」なんですか!? 伊藤:全人類の半分が当事者なのにね(笑)。ただ、後日談ですけど、その日の帰りに、大臣が秘書官に「今の伊藤さんの質問は本当か?」と聞いたそうです。秘書官は「わかりません」と。すると大臣が「わからないんだったら彼女に聞くしかないじゃないか」と言ってくださったそうなんです。だから、伝わる人には伝わる。 生理に関する陳情も頂くようになり、昨年11月、中学生とそのお母さんから頂いたご意見をもとにした質疑がきっかけで、公立高校入試の追試対象に生理に伴う体調不良が含まれることになりました。生理についての教育や議論が今、政府や教育委員会の中で始まっています。 性教育も、国会の中でまともに議論されません。性教育=性行為教育だと思っている人たちがいまだに多くいるから。でもある議員の方に、「先生は少子化が問題とおっしゃるけども、性教育がお嫌いですよね。子どもが産まれる始めの一歩ってどこだと思います? それは排卵の確立、つまり初潮です。だから、生理に関する正確な知識を備える『生理教育』が必要なんです。生理教育は子どもを産み育てるところまで連なる、女性の生き方、働き方にも通じる大事なイシューなんですよ」と言うと、「なるほど」と。入水角度を変えて、今までスタックしていた政策を語ることも、時には必要なんです。