高齢者、賃貸住宅を探すなら”見守りサービス”が欲しい。種類や選び方を高齢者専門の不動産会社「R65不動産」山本遼さんに聞いてみた
デジタルツールを活用することで費用を低く抑えているものもありますが「定期的に高齢の方へ自動電話をかけ、その反応で安否を確認する見守りや、室内にカメラやセンサーを設置して行う見守りは、見守りの対象となる高齢の方が監視されているように感じ、人によっては敬遠する傾向にある」(山本さん)と言います。
また、電球のON/OFFを検知する見守りは、室内に入って電球の設置・交換が必要なため、設置会社の繁忙期だと導入まで時間がかかることが予想され、自室に他人が立ち入ることに入居する高齢者が抵抗を感じる点がマイナス要因となるそう。 「このように見ていくと、『導入が簡単で、監視されている感がなく、費用も抑えられるもの』が、入居する高齢の方に受け入れられやすい見守りサービスだと感じます。死亡事故などがあって大きく損害を受けるのは、オーナーさん、不動産管理会社など、住宅を貸す側です。であれば、貸す側が主体となって見守りサービスを導入すべき。もちろん、導入する際には費用負担が少なく、入居者に受け入れやすいものを選ぶのがポイントです。 一方、賃貸住宅に入居中の人や、入居を検討していて見守りサービスを導入してほしい人は、その旨をオーナーさんや不動産会社に伝えるといいでしょう」
R65不動産が選んだ見守りサービスは、電力変化を検知するタイプ
R65不動産が導入を検討してきた見守りサービスは複数ありますが、数年間試行錯誤した結果、現在は電力変化を検知するタイプの見守りサービスを採用し、「らくもり」という名称で不動産管理会社を通じて賃貸物件への導入・普及に努めています。毎日、前日の0時~24時までの1日の電力データをAIがモニタリングし、電気の使用量やタイミングなど、通常の電気使用の動きと異なる動きが見られると24時間~48時間以内に入居者の携帯に連絡が行く仕組みです。
「やはり、導入しやすさ、監視されている感のなさ、コスト面が抑えられることを重視して検討してきた結果、最終的に残ったのが電力変化による見守りサービスです。電力変化による見守りサービスなら、機器の設置が不要で導入しやすいうえ、人が居室内に立ち入ることや監視されている感がなく、コストも数百円程度に抑えられます。 サービスを始めた当初は新電力の会社と協力して進めていましたが、導入するには入居する方に電力会社の切り替えをお願いしなくてはならず、新電力の会社と契約することに抵抗を感じる方もいらっしゃいました。切り替えの手続きが必要なため、私たち仲介会社のオペレーションコストがかさむという課題もありました。 しかし、2024年の8月からは、どこの電力会社を使っていても『らくもり』を提供できるようになり、当初、入居する方が感じられていた不安や不便を解消しています」
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