高齢者、賃貸住宅を探すなら”見守りサービス”が欲しい。種類や選び方を高齢者専門の不動産会社「R65不動産」山本遼さんに聞いてみた
いま、続々と高齢者向けの見守りサービスが登場している
R65不動産では、高齢者が賃貸住宅に入居しやすい環境をつくるために多くの不動産仲介会社と連携して高齢者が入居可能な物件をホームページで紹介してきました。また、万一があったときの残置物の取り扱いや事務手続きをスムーズにできるよう、死後事務委任について盛り込んだ契約書のサンプルを多くの不動産会社(R65不動産のパートナー会社)がダウンロードできるように公開するなどの取り組みも行っています。あわせて注力しているのが、不動産管理会社などと提携して展開する、見守りサービスの提供です。 見守りサービスの現状について、山本さんはR65不動産が2024年8月に開催された「賃貸住宅フェアin東京」に出展した際の来場者の反応を語ります。 「私の印象だと、賃貸オーナーさんや不動産管理会社など、住宅を貸す側の約7割が導入を検討しているものの未導入。そして、約2割は『以前に導入していたが止めてしまった』とおっしゃっています。導入していた人が止めた理由としては『導入の初期費用や維持コストがかかるから』という回答が多くありました」(山本さん、以下同) 見守りサービスには、さまざまな種類があります。 人が介在するものとしては、セキュリティサービスと連動して非常時に訪問対応するものや、食材や飲料の配達に合わせて入居者の安否を確認するものが代表的です。 デジタルツールの活用によって見守りをするものもあります。例えば、定期的な自動電話によって入居者の応答を求め安否を確認するもの、室内に取り付けた電球のON/OFFによって安否を確認するもの、カメラやセンサーを通じて異状を感知するもの、使用する電力の変化によって異状を検知するものなどがあります。
見守りサービスを提供する200社に聞いてわかったポイント
見守りサービスがあることによって、入居した人が動けなくなったり、意識がなくなったりした際に早めに発見できる可能性が高まります。また、万一、死亡事故となった場合も早期に発見できれば、貸す側の負担を大きく減らすことができます。そのため、見守りサービスは入居する人やその家族に安心を提供するだけではなく、オーナーや管理会社の「死亡事故等に対する不安」を取り除くためのサービスとしても注目されているのです。 R65不動産は、高齢者専用の不動産会社として事業を開始しましたが、依然として高齢者の入居が進まない状況に頭を悩ませてきました。そこで、オーナーが高齢者に住宅を貸しやすい環境をつくろう、そのために孤独死による損害を減らそうと考え、自社でも見守りサービスを提供することにしました。 見守りサービスの導入を検討する過程では、なんと約200社から商談のコンタクトがあったそうですが、多種多様な見守りサービスの中には、導入しづらいものもありました。 「例えば、人が介在する見守りサービスのうち、セキュリティサービスと連動したものは、非常時の駆けつけなど、人が対応するので、その分利用料が割高になります。また、食材や飲料の配達時に安否確認するタイプの見守りサービスは商品の購入費用などがかかり、全国どこでも毎日配達・見守りをしてくれるとは限りません」
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