2024年の「ドラマ視聴率トップ10」驚きの結果。流行語とった「ふてほど」は?1年のドラマ総まとめ
地面師のひとりである元司法書士(ピエール瀧)のセリフ「もうええでしょう」が、今年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされたことは、本作の社会的ヒットと印象の強さを示している。 実際、見終わったあとのインパクトは凄まじい。作品からエネルギーがほとばしる、強烈な見応えのある怪作だった。配信ドラマが一般的になった時代に、改めて地上波連続ドラマとは異なる映像作品のすごみを白日のもとにさらした1作と言えるだろう。
これ以外にも、俳優の賀来賢人がNetflixに企画を持ち込み、自ら主演&共同エグゼクティブ・プロデューサーを務めた『忍びの家 House of Ninjas』がグローバルヒットになったほか、鈴木おさむの企画・脚本・プロデュースによる『極悪女王』も、ゆりやんレトリィバァ、唐田えりか、剛力彩芽らの熱演による昭和の女子プロレス界を舞台にした人間ドラマが話題を呼んだ。 また、ハリウッド制作の本格時代劇『SHOGUN 将軍』(ディズニープラス)は、『第76回エミー賞』主要部門を含む史上最多18部門制覇。日本人受賞者も史上最多9人となる歴史的な快挙の話題が、日本メディアを連日にぎわせた。世界的に日本題材のドラマへの注目度を高めた作品としても特筆される。
ドラマシーンには多様性が必要だ。さまざまなジャンルの多彩な物語がいまの社会を映し、視聴者に新たな気づきや感動を与えてくれる。2024年のドラマはそんな多様性にあふれていた。振り返ってみれば、ヒット作、話題作に恵まれた充実した年だったと感じる。 昨年の話題作といえば、『VIVANT』(TBS系)だが、この1年を代表する社会現象的な作品を挙げるとすれば、今年はやはり『不適切にもほどがある!』と『地面師たち』だろう。
■ストーリーと社会がリンクした話題作 そこにジャンルやテーマの共通点はない。何が刺さるのかは誰にもわからない。ただ、そのストーリーに社会とのリンクがなければ、人々の興味を引くことができないし、共感も生まれない。言い換えれば、そうしたものを内包しつつ時勢に乗ったドラマがその年の代表作になる。 今年を映す鏡である2作には、時勢も市井の人々の情感もにじむ。この1年の出来事と一緒に、人々の記憶に残ることだろう。
武井 保之 :ライター