2024年の「ドラマ視聴率トップ10」驚きの結果。流行語とった「ふてほど」は?1年のドラマ総まとめ
内容面でも、『Eye Love You』はキャラクター性もストーリー展開も、韓国ラブコメをそのまま日本ドラマに持ってきたかのようなファンタジックラブストーリーだった。 また、7月期の『笑うマトリョーシカ』(TBS系)での、主人公の父のジャーナリスト(渡辺いっけい)が車を運転中にダンプカーに真横から突っ込まれるシーンなどは、韓国ドラマのド定番。裏切りとどんでん返しが続くサスペンス展開も、韓国が得意とするサスペンス系のドラマ系譜だと感じた。
今年3月にはTBSプロデューサーらクリエイターが韓国へ渡り、同国最有力スタジオのひとつであるスタジオ・ドラゴンなどのクリエイターらとのワークショップや研修を実施。5月にはTBSと韓国の総合エンターテインメント企業 CJ ENMは今後3年で3本以上の地上波ドラマ、2本の劇場用映画を共同制作することに合意したことが伝えられている。 その成果がさっそく一部のドラマに表れているのかもしれない。2025年1月2日放送の新春スペシャルドラマ『スロウトレイン』にもチュ・ジョンヒョクが主要キャストとして出演することが発表されている。プチ合作とも呼べる韓国キャストやクリエイターが参画する“韓国風”を取り込んだTBSドラマはこの先も増えていきそうだ。
一方で、それが日本のドラマファンにどう受け入れられていくか。『Eye Love You』はそこそこ話題になったが、そもそも韓国ドラマファンはマスではなくコアだ。コロナ禍の『愛の不時着』や『梨泰院クラス』のような一般層を巻き込む社会的ヒットはその後、日本では生まれていない。 個人的には、韓国ドラマ定番のドギツいサスペンスもベタなラブストーリーも、韓国社会のベースのうえに描かれるからおもしろいと感じる。一方で日本のドラマでは、いまの日本社会を反映した人間ドラマが日本人の心をつかみ、ヒットしている。
韓国の人気俳優が出演すれば、そのファンが盛り上がることで話題にはなる。しかし、そんな小手先のメリットのためではなく、両国のクリエイティブが化学反応を起こす新たなタイプのドラマを生み出し、日韓のドラマシーンの架け橋となっていくことが期待される。 ■存在感を示した準キー局&ローカル局 そのほか今年のトピックとしては、地方局である準キー局の奮闘が挙げられる。 キー局のゴールデンタイム枠で話題性の高いドラマが少なかった一方、準キー局やローカル局ドラマが豊作だった。