2024年の「ドラマ視聴率トップ10」驚きの結果。流行語とった「ふてほど」は?1年のドラマ総まとめ
また、稀に見る秀逸な叙述トリックで視聴者を驚嘆させたのが『全領域異常解決室』(フジテレビ系)。オカルトチックな事件を異端刑事が科学捜査とロジックで解決していく正統派の刑事ドラマのように展開しながら、中盤で物語をひっくり返す。その本筋は、現代社会で人間に紛れて生きる、特殊な力を持つ神々の闘いを描く本物のオカルトドラマだった。 今を生きる八百万の神々の戦いは、人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のスタンド使いや、人気アメコミのマーベルシリーズに出てくるスーパーヒーローたちのそれのように見える。
八百万の神という日本文化に深く関わっている点も日本人にとって親和性が高く、興味深い。この先のフランチャイズ化も視野に入る、強力なIPがフジテレビから生まれた。 もう1作が『ライオンの隠れ家』(TBS系)。両親を突然の事故で亡くした主人公が、自閉スペクトラム症の弟と平穏に生活しているなか、謎だらけの事件に巻き込まれていく。心温まる家族ドラマが描かれながら、徐々にサスペンス要素が色濃くなる。 サスペンスのシリアスな展開に引き込まれつつ、DVを受けていた子どもを取り巻く騒動のなかで、兄弟の姿と心の動きにほっこり心が温まったり、切なくさせられたりする。気づくと感情を揺さぶられている、家族のあり方を描くドラマだった。
■『地面師たち』『極悪女王』など配信ドラマも話題に もうひとつの今年のエポックメイキングなトピックは配信ドラマのヒットだ。 なかでも『地面師たち』は、今年を代表するドラマの1作となる世の中的な話題になった。近年では邦画大作を撮ることも少なくなった大根仁監督がNetflixに企画を持ち込み、自ら監督・脚本を手がけたクライムサスペンス。 実際に起きた不動産詐欺事件をベースに、裏社会に生きる、個性的過ぎる地面師たちの暗躍ぶりを、生々しい暴力や性描写を盛り込みつつ、エンターテインメント性の高い社会派人間ドラマとして描き出した。