2024年の「ドラマ視聴率トップ10」驚きの結果。流行語とった「ふてほど」は?1年のドラマ総まとめ
クドカン節全開の宮藤官九郎オリジナル脚本で、令和のコンプラ社会に感じる窮屈さや不自由さを、昭和のダメおやじの主人公を通して描き、“昭和あるある”小ネタや、芸達者なキャスト陣のコミカルな会話劇が視聴者の心を掴んだ。 令和と昭和の対比から、双方の社会を風刺するメッセージの投げかけには、そのリアクションへの世代間の温度差も見られた。しかし、そんな話題の喚起こそ制作陣の狙いだったのだろう。 続く4月期(春ドラマ)でも宮藤官九郎脚本の『季節のない街』(テレビ東京・ディズニープラス)に注目が集まった。
同名小説(山本周五郎著)を原作に、災害から12年を経た仮設住宅でいまも暮らす個性豊かな人々の人生を笑いと涙で描く群像劇で、これまでにも震災を伝えてきたクドカンの真っ直ぐなメッセージが突き刺さる作品。登場人物たちのおもしろおかしさの裏に、ときに切なさがにじみ、その根底には悲しみと痛みがある。春ドラマNo.1の秀作だった。 さらに7月期(夏ドラマ)でも宮藤官九郎脚本の『新宿野戦病院』(フジテレビ系)が異彩を放っていた。外連味あふれるドタバタコメディ要素が全開。小池栄子、仲野太賀、濱田岳、生瀬勝久、柄本明ら個性派キャストたちが笑いを届けるドラマかと思いきや、後半で物語が一転する。
市井の病院を舞台に、コロナ禍の狂騒を揶揄しつつ、当時の社会を客観的な目線で描いたほか、致死率の高い未知のウイルスによる危険な感染症が再び世界中で流行する社会も描き、コロナ禍からの教訓を世の中に問いかけた。 振り返れば、2024年のドラマシーンは、宮藤官九郎イヤーでもあった。彼特有の会話劇や小ネタで視聴者を楽しませながら、忘れ去られようとしている現代社会の課題を掘り起こした。3作とも社会的意義のあるドラマだった。
■TBSドラマの一部に見られた韓国化 ドラマシーンのトピックとしては、TBSの韓国傾倒が顕著になった年でもあった。 1月期の『Eye Love You』ではヒロイン(二階堂ふみ)の相手役をチェ・ジョンヒョプ、年間の平均世帯視聴率で1位に輝いた7月期の日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』では主人公の天才外科医(二宮和也)を慕う研修医役をキム・ムジュン、その母親役をチェ・ジウが演じるなど、主要登場人物への韓国人俳優のキャスティングが目立った。