中畑清氏が明かしたキャッチフレーズ「絶好調!」誕生裏話 レギュラー獲得につながった「日米野球」での大活躍は愛妻のおかげ
中畑氏がたきつけた?篠塚氏の長嶋監督への暴言
篠塚和典氏が「プロ野球レジェン堂」に出演した際、「伊東キャンプ最終日のランニングで、長嶋監督に『監督、腕組みなんかしてねえで、一緒に走ってみろよ!』という暴言を浴びせたのは、中畑さんにたきつけられたから」と語っていた。中畑氏にその真相を確認すると…。 中畑: 「シノ、お前、なんとかミスターを走らせろ。お前が言ったら、絶対、走るから。俺たちじゃダメなんだ」みたいなこと言ったんです(笑)。 そしたら、あいつ、びっくりするくらいのタンカを切ったんだよ。「偉そうに腕組んで見てんじゃねえよ!」って。 俺らがみんな、「うおー!」ってびびっちゃうぐらい。 徳光: まさか本当に言うとは思わなかったんだ。 中畑: いや、シノがあの勢いで言うとは思わなかったんですよ。あれじゃ普通だったら頭に来るよ。 それが、長嶋さん、「何言ってんだ、てめえら。このやろう。シノ、見とけよ」って始まった。勢い良く一気に行きましたよ。傾斜があってきつい坂が80メートルぐらい続くのかな。それから150メートルぐらいなだらかな坂が続いていくの。それを登りきったら、すごくつらいんですよ。それをあの人、勢いよく行って…。 最初は「いよー、長嶋、長嶋」って応援してたんだけどさ。 徳光:(笑)。 中畑: 1周800メートルぐらいあるんだけど、なかなか帰ってこないんだよ。やっと帰ってきたなと思ったら、“ケツワレ”の代表選手みたいになってて。最後に「やり遂げたぞ、俺は」って感じでバターンと倒れた。 あれは長嶋さんと我々の距離がなくなった瞬間だったと思うんですよね。
長嶋監督退任、そのときテレビに向かって…
伊東キャンプ翌年の昭和55年に中畑氏は初めて規定打席に到達。打率2割6分8厘、22本塁打、打点57の成績を残した。 徳光: 規定打席到達で一人前のプロ野球選手になったっていう実感があったんじゃないですかね。 中畑: 規定打席に達するってことは、バットマンとして一番誇りにできること。規定打席っていうのは大事なんですよ。「これでやっとジャイアンツの一員に本当になれたな、これから俺たちが引っ張っていかなきゃいけないな」、そういう気持ちになりましたね。 でも、その年のオフに長嶋さんがクビになるじゃないですか。 徳光: そうですね。解雇されますね。 中畑: 実は、ゴルフの練習場で知ったんですよ。そこにテレビがあって、「ニュースです」って退団の記者会見が始まったんですよ。それを見て、「ウソだろ、おい!」ってテレビ画面に叫びましたよ。 徳光: じゃあ、選手は全く知らなかったんですか。 中畑: 全然。誰も知らなかった。 徳光: そういう雰囲気はなかったんですかね。 中畑: なんかそういう重々しい空気みたいなものを感じるところが、あったことはあったんですよ。勝てなかったから。 でも、我々がやっと成長して、来季はチャンスだなっていう雰囲気があったから。 徳光: 確かにありましたね。 中畑: そうなんですよ。そういう機運の中でまさかですよ。「あっ、これはクビにさせられたな」って、すぐにピンときましたけど、ショックでしたね。 一番悔しかったのはやっぱり本人だと思うんですけど、本人は一言も…。 徳光: 言わなかったんだよね。 中畑: 愚痴を言わずに「次に託す」みたいな感じのコメントで終わったんですよね。「やっぱり、すごい人だな」って気持ちになりましたね。
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