大谷翔平、山本由伸…巨額投資でメジャーリーグの盟主をもくろむドジャースの野望
四竈 衛
大谷翔平にプロスポーツ史上最高額となる10年総額7億ドル、山本由伸には投手史上最高額の12年総額3億2500万ドル──。2012年にオーナーが変わって以降、惜しみない投資を続けてきた米メジャーリーグ(大リーグ)、ロサンゼルス・ドジャースが、今季はさらなる巨額投資に踏み切った。常勝軍団を目指すチームの内情と、大規模補強がなぜ今季だったのかを読み解く。
10年総額7億ドルが意味する古豪の本気
メジャーリーグにおいて、潤沢な資金力の有無と勝利への渇望は必ずしも一致しないのかもしれない。 たとえ経済的な制約があっても、限られた資金で強豪球団を築き上げるケースは少なくない。その一方で、資金力があっても補強や育成で後れを取る球団も数多い。近年のメジャーでは、世界一に到達したとしても、その後、主軸選手の年俸高騰により有力選手を続々と「バーゲンセール」でトレードし、あっという間に弱体化する傾向が頻繁に見られるようになった。 実際、1998年から3連覇したヤンキース以来、昨季までワールドシリーズを連覇したチームはない。それほど、最高峰レベルの戦力を維持することは簡単ではない。裏を返せばどのチームにもチャンスがある、「混戦」「戦国時代」であるとも言える。 そんな状況で、これまで「西海岸の強豪」として知られたロサンゼルス・ドシャースは、常勝軍団としての基盤を強固にし、本当の意味でのメジャーの盟主となるために、巨額な資金を惜しむことなく投資。大きな一歩を踏み出した。その象徴が、エンゼルスからFA(フリーエージェント)になっていた大谷翔平の獲得だった。 2013年以来、過去11年間で7連覇を含む地区優勝10回。20年には世界一に登り詰めたドジャースは、23年のシーズン終了後、オフの話題を独占するほど大規模な補強に踏み切った。 FA市場解禁後の大谷翔平の争奪戦では、事前の予想通り複数球団との間で激しい攻防を繰り広げた。交渉中には大谷が搭乗したと憶測されるプライベートジェットのフライト経路がSNS上で追跡されるなど、根拠のない不確定情報が飛び交う異例の事態となった。