大谷翔平、山本由伸…巨額投資でメジャーリーグの盟主をもくろむドジャースの野望
大谷の代理人側が各球団やメディアに対して情報統制を徹底する一方で、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は昨年12月のウインターミーティング中、堂々と「大谷の獲得はトッププライオリティーだ」と明言した。 ドジャースは大谷が花巻東高を卒業する13年に獲得に動いただけでなく、大谷が日本ハムからポスティング(海外FA権取得前にメジャーリーグへ移籍できる制度)で移籍を志した17年オフにも最終面談に残り、有力候補に挙げられた。 当時はエース左腕のクレイトン・カーショーらが交渉に同席するなど、最大級の誠意を示したものの、ナ・リーグにはDH制がなかったこともあり、大谷はア・リーグのエンゼルスと契約した。ただ、大谷の心の中に、ドジャースへの好印象は明確に残っていた。 今回のFAでは最終的に大谷自身がドジャース入団を決断し、空前の移籍騒動は決着した。 契約内容はプロスポーツ史上最高額となる10年総額7億ドル。しかも、33年までの10年間は年俸200万ドルで、その後は2043年まで毎年6800万ドルを「後払い」で受け取る特殊な契約となった。 異例とも言える「後払い」は大谷自身の提案で、ドジャースにとって今後10年間は選手の総年俸が抑えられるため、よりフレキシブルな資金運用が可能となる。大谷の願いは、ドジャースが来季以降も安定した戦力補強を継続し、常にワールドチャンピオンへの最短距離を維持することだった。 年俸総額の97%を「後払い」にするという大谷からの要望を、アンドリュー・フリードマン編成本部長は「翔平にとってとても重要なことだった」と、真正面から受け止めた。さらに、契約期間中の10年間で、オーナーグループのマーク・ウォルター氏、またはフリードマン編成本部長が退職した場合は大谷が契約破棄できる条項が盛り込まれるなど、経営、編成、選手が文字通り「同じ船」に乗って戦い抜く方向性が定まった。