80歳女性、投資詐欺で老後資金2000万円を失い貯金が0円に…「せめてもの救いは、体が丈夫であること」
近年、SNSを悪用した投資詐欺の被害が急増しています。SNSを通じて対面することなく親交を深め、投資金名目やその利益の出勤手数料名目などで金銭をだまし取るのが、通称SNS型投資詐欺。警察庁の発表によると、令和6年1月~8月のSNS型投資詐欺の認知件数は4,639件(前年同月比+3,593件)で、被害額は約641.4億円とのこと。あわよくば一攫千金を――そんな期待は誰しも抱いているもの。けれど世の中、そこまで甘くはないようで……。北泉加世子さん(仮名・愛知県・無職・80歳)は、投資詐欺に遭い、老後の資金として貯めていた2000万円を失ってしまい―― 【漫画版はこちら】 * * * * * * * ◆「経済評論家」から資金倍増計画に誘われて 齢(よわい)80。年金生活者の私が投資詐欺に遭い、たった1ヵ月で2000万円を失ったのは、今年3月末のことだ。老後のために貯めていたお金は、0円になってしまった。 まさに青天の霹靂。月6万円の年金以外、収入はなし。こんな状況になるとは思いもよらなかった。一寸先は闇の急降下人生と化す――。 私は好奇心旺盛なほうで、何か気になることがあると必ずインターネットで検索する。今年の2月下旬、日経平均が4万円を超えそうだというニュースが流れてきた。 私は30歳から株を購入している。大きな儲けにはならないまでもいくばくかの財産にはなっていたので、「この先、株式市場はどうなるんだろう」という思いから、スマホで検索をかけた。 関連記事を読んでいると、著名人が7、8人載っている株式情報欄がふと目に留まる。そのなかには、実業家のHさん、経済評論家のMさんがいた。彼らをLINEの「友だち」に追加すれば、投資に関するお得な情報が無料で得られるという。 私はテレビなどで顔をよく知っていたHさんを、気軽な気持ちで追加してみた。
するとすぐに連絡が来て、いま株を買うべき証券コードが2つほど送られてきた。証券口座に残っているお金があるから、試しに買ってみよう。 私はさっそく行動に移した。3日後には購入した株を売るよう連絡が入り、その通りに売ると、少しだけ儲けが出た。 次に私は、信頼できそうなMさんも登録。彼も同じく証券コードを2つほど知らせ、買いの指示を出してくる。そして同じように相手の指示するタイミングで株を売り、少額の儲けを出した。私はMさんの情報に絞って、売買を続けることにした。 3月に入ると、Mさんから「3月の資金倍増計画! 皆さんも参加して、老後の安定した生活を目指しましょう」という誘いが。 私は「お金を倍に増やせる? そんなおいしい話があるのだろうか」と少し悩んだが、株も短期で儲かっていたため、まあ、せっかくだから試してみようか、と参加に踏み切った。この甘い決断が、私の人生を変えてしまうことになるなんて――。
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