関大のドラフト候補2人をオリックスが直前視察…「レギュラー取れる」野口遊撃手&「プロ4番に遜色ない飛距離」久保田捕手にセパ10球団が熱視線
「自分の中ではリーグ記録は行けるんじゃないかと思っていましたが、こればっかりはどうしようもない。ここまでを振り返ると、もったいなかったと思うのも10打席ぐらいありますが、ラッキーなヒットも同じぐらいあるので相殺されている。自分の中ではしっかり練習に取り組んで打った記録だと思います」 1年生から出場していたメリットは他にもある。関西学生リーグで戦った3学年上には楽天に1位指名された立命大の辰巳涼介がおり、1学年上には阪神に1位指名された近大の佐藤輝明がいた。物差しとしてプロとの距離感をつかめている。 「2人とも”別格やな”と思いました。特に佐藤さんとは3年間、間近でプレーし、いま、あれだけの活躍をされている。自分もやれるのでは、と思う反面、やれる根拠はない。まずはスタートラインに立ってからです」 野口の魅力は、その守備力だ。なかでも、その鉄砲肩は半端ない。高校時代に徳島県内で実施された硬式球を使用した遠投大会で110メートルを記録して優勝。現在は中堅まで118メートルある関大グラウンドで遠投するとバックスクリーンの中段に当たるという。「125メートルぐらいです」。 練習でも一切手を抜かない。ティー打撃から全力。打撃練習ではマン振りを繰り返す。「自分はまだまだ下手くそ。続けることを大切にし、当たり前にやっているだけです」 これには関大OBの早瀬万豊監督(63)も感心しきりだ。 「取り組む姿勢が素晴らしい。野球小僧みたいなところがある」 早瀬監督は、社会人野球の名門、日本生命のエース、投手コーチ、監督としていずれも日本一を経験。仁志敏久(巨人など)、福留孝介(中日、阪神、カブスなど)らを指導した。2014年から母校の監督に就任。卓越した手腕を発揮し、長らく低迷していた母校をきっちり再建。その早瀬監督がこうまで言うのだ。 「遊撃手としての守備は当時の仁志や福留よりも野口が上です。バッティングは三者三様、それぞれみんないい打者で、だれに似ているとは言えませんが、野口は思いきり振るタイプで二塁打、三塁打が多く、足も速い。おまけに端正なマスク。人気も出そうです。プロでは未知数ですが、野球センスがあるし、順応性も高い。最初は戸惑うでしょうが、対応できるんじゃないですか」 オリックスの関西地区担当の谷口スカウトは「打てるショート。1年生から出て100安打近く放っている。3拍子そろっており、これからどんどん技術を磨けば、プロでもレギュラーを取れる」と高く評価した。 出身は奈良県でオリックスジュニアの一員。座右の銘には鳴門渦潮のチームスローガンだった「克己心」を挙げた。 「自分に勝たなければ、相手に勝てない」 運命のドラフトを前にして思いを聞くと「自分がこれまでやってきたことが証明される日。当日までリーグ戦が残っているので100安打を決めて、自分の人生の中で、いい日になれば、と思う。1位にこしたことはないけれど、何位であろうとプロに行くつもり」と口元を引き締めた。 目指す選手は巨人の坂本勇人。「走攻守ともトップレベル。ショートと言えば、坂本さんでしょう。プロ基準は質もレベルも高い。自分はまだまだです」