「不妊治療を受けている」と上司に伝えると驚きの返答 知識不足や偏見も…「職場で話しづらい」女性は8割
35歳過ぎて子どもを産むなんて…
不妊白書2024では、職場で不妊治療をしていることを話しづらいと感じる人は80.9%で、6年前の調査(不妊白書2018)の81.3%と、あまり変わっていませんでした。職場で不妊治療のことを話題にしづらい状況が続いていることが明らかになりました。 その背景には、周囲の人の不妊や不妊治療に対する知識不足や偏見などがあります。「そんな不自然な方法で子どもをつくるのは怖くない?」「不妊治療は親のエゴ」「なんで養子にしないの? 血のつながった子どもじゃなくてもよいのでは?」など、個人的な意見を言われることもあります。 私も、“高齢”での不妊治療を経て子どもを出産したことを知り合いに伝えた時、「40歳代で、不妊治療をしてまで子どもを持つなんて、高齢な親を持つ子どもがかわいそう。35歳を過ぎて子どもを産むという選択はしない」と言われたことがあり、驚きと悲しさでいっぱいになりました。 昭和から平成を経て、令和の時代になっても、まだまだこうしたやりとりは存在するのです。 Fineは、当事者の声を集めて、不妊白書という形で広く社会に不妊や不妊治療についての正しい知識を提供したいと考えています。生き方や価値観、幸せの定義、働く目的などは、人によって異なります。個々の違いを認め合い、尊重し、お互いの価値観を一緒に共有できる社会をつくり上げていきたいと思っています。
野曽原誉枝(のそはら・やすえ)
NPO法人Fine理事長 福島県郡山市出身。NECに管理職として勤務しながら6年の不妊治療を経て男児を出産。2013年からNPO法人Fineに参画。14年9月に同法人理事、22年9月に理事長に就任。自らの不妊治療と仕事の両立の実体験をもとに、企業の従業員向け講演や、自治体向けの啓発活動、プレコンセプションケア推進に力を入れている。自身は、法人の事業に従事しながら、産後ドゥーラとして産後ケア活動をしている。