阪神ドラ1佐藤が広島森下のカーブを仕留めた甲子園初アーチの意味…怪物は早くも”第二形態”に進化し始めたのか
阪神の黄金ルーキー佐藤輝明(22)が14日、甲子園球場で行われた広島戦の4回無死一塁で、この試合まで防御率0.00だった先発の森下暢仁(23)から甲子園初アーチを放った。落差のあるカーブをやや泳ぎながら右中間スタンドへ運んだ。7回にもケムナ誠(25)から中前適時打を放ち、最多となる1試合3打点をマーク。先制タイムリーを放ったドラフト6位の中野拓夢(24)と共にチームの4連勝、貯金「8」に貢献した。佐藤の打撃内容にはプロの壁を超えつつある進化の軌跡が伺えた。
泳いで右中間に運んだ4号2ラン
二度、同じ相手にやられるわけにはいかない。 「前はやられていたので、今日は何とか打とうという強い気持ちを持って打席に入りました」 3月30日の森下との初対戦は2打数2三振。第1打席はインサイドを意識させられボールゾーンに落ちるカーブで三振。第2打席も高めの釣り球でスイングアウト。完璧に封じ込まれていた。だが、佐藤は、その教訓を胸に、この日は、そのカーブを仕留めた。 同期の中野の先制タイムリーで1点をリードして迎えた4回無死一塁。初球の149キロのストレートを見逃した。甘いコースだったが、佐藤は珍しく振りにいかなかった。2球目はボールゾーンにチェンジアップ。佐藤はこれをフルスイングして空振りしている。 2球で追い込まれた。これだけで判断すれば佐藤は変化球狙いである。だが、追いこまれてからの変化球狙いは考えにくい。 広島が3月30日の対戦で手にしたデータは「インコースのストレートを意識させてからの縦の変化に弱い」というものである。 坂倉は外角低めにミットを構えていた。おそらくストレート狙いの裏をかいて森下特有の大きな落差のあるカーブをボールゾーンに落として振らせたかったのだろう。 だが、そのカーブは真ん中に落ちてきた。佐藤は泳いだ。しかし前回の対戦で脳裏に残っていたカーブの球道や変化に体が反応した。イメージもしていたのだろう。コーンという衝撃音を残した打球は右中間スタンドの最前列まで飛んでいった。 「打った瞬間、いくかなと思いました」という感触が佐藤の手に残った。中野が「外国人みたいな本塁打だったので。うらやましいなと思いながら見ていました」と驚くような強烈な打球だった。 森下に黒星をつける価値ある2ランを矢野監督はこう振り返る。 「完璧というよりは泳いだ感じ。あれで本塁打を打てるというのが輝のいいところ」