1985年にはバース氏と掛布氏の伝説アベック弾記録…阪神が広島連勝決めたOS砲の本塁打競演はVへの切り札となるのか?
阪神の大山悠輔(26)と“怪物新人“の佐藤輝明(22)が15日、甲子園球場で行われた広島戦で初のアベックアーチをマーク、2人で全打点を叩き出して4-0で快勝し広島に連勝した。チームは5連勝で貯金を「9」に増やした。大山は今季初本塁打で佐藤は2試合連続の5号。虎のOS砲はVの切り札となるのか。
大山が68打席目にして今季1号
ついに虎党が心待ちにしていたOSアベックアーチが実現した。 先陣を切って眠りから覚めたのは4番の大山。0-0で迎えた1回二死一塁で広島の先発左腕・床田がフルカウントから真ん中低めに投じた137キロのツーシームを崩されながらバットで拾った。最後は左手1本になったがパワーが違う。打球は先発の秋山を援護する価値ある先制の2ランとなってレフトスタンドの最前列に飛び込んだ。 「すごい感触は良かったので、入ってくれと思いながら走っていたんですけど、本当に入ってくれて良かったなと思っています」 今季17試合、68打席目にしてやっと生まれた1号。これまでの最遅が2019年の47打席目だったが、それ以上の“本塁打スランプ“に陥っていた。 この日の試合前に直接指導していた矢野監督も、「ホームランになるとは思わなかったので、ちょっとびっくりした。いい泳ぎ方ができたんじゃないか」と手放しだった。 大山の“本塁打スランプ“の理由は、その打撃フォームにある。バットのヘッドを投手側に向け、反動をつけようと意識するあまり、スイングが遠回りしてコンタクトの瞬間、ボールにスピンがかかるような角度でバットが入らない。この日は、変化球に体勢が崩されたことで、あくまでも偶然、ここまでとは違う形でボールにコンタクトすることができたのである。 矢野監督も「これで乗っていってくれると思う」と期待を寄せる一方で、「この一本で変わりますか?」と聞かれ「そんなに簡単とは思わない」という見解も示した。 まだ本塁打スランプを抜け出たとは断言できない状況にはあるが、どうすれば打球が上がるかの感覚はつかんだのかもしれない。何かが変わる可能性はある。 そして何より大山は、本塁打こそ出ていないが、11打点をマーク。「大山が打点をあげれば負けない」との不敗神話を守った。さらに先制した試合も不敗である。 甲子園にさらなる衝撃が走ったのが4回無死一塁からの佐藤の5号2ランだった。カウント1-1から弱点とされるインサイドを狙われたストレートをバックスクリーンまで運んだのだ。しかも「少し詰まっていた」というから驚愕である。3月31日の広島戦では床田の前に3三振を喫していたが、リベンジを果たした。前日のゲームでも1度目の対戦では封じ込められていた森下のカーブを捉えて本塁打にしたが、二度同じやられ方をしないのが、佐藤の恐るべき進化である。 ベンチでバックスクリーン本塁打ボーナスである「100万円」を示す「100」を指でジェスチャーして佐藤を出迎えた矢野監督も「あの方向(バックスクリーン)はテル(佐藤)のホームランの基本の方向。飛距離もね。本当にテルらしく、夢のあるホームランだった。追加点としても大きかったし最高でした」と絶賛した。 大山の目覚めで虎の「OS砲」がついに揃い踏みを果たした。大山、佐藤の2人で全打点を叩き出したのである。