「男だから仕事」への違和感 育休を経て男性たちがたどり着いた「滅私奉公しない」働き方
■「男らしさ」が人材流出につながることも…
周囲から求められる「男だから仕事を優先させるべき」という考え方に、苦悩する男性たちは少なくない。子育て世代向けの転職支援サービス「withwork」の調査では、男性回答者の約6割が「『男らしさ』による生きづらさやプレッシャーを感じたことがある」と回答した。具体的な理由として「仕事や昇進に野心的でなければならない」、「育児や私生活に時間を割きたくても叶わない」などが挙げられた。 「withwork」では、サービスを始めた5年前にほとんどいなかった男性利用者が、2年ほど前から増え始めている。今では全体の3割が男性だ。運営会社のXTalent株式会社の上原達也代表取締役は、男性たちの変化を感じている。 「育休やコロナ禍とそれ以降のリモートワークを経て、多くの男性たちが、妻に押し付けていた家庭の様子を知り、家族と過ごす時間の大切さを実感した。これまで男性が求められてきた、会社に滅私奉公して働くことに疑問を感じ、働き方を変えたいという男性が増えてきたと感じています」 その一方で、「男だから仕事を優先させるべき」という古い価値観から抜け出せていない会社はまだ多く、働く男性たちとのミスマッチが生じているという。 「男性が育休を取るということは理解できても、育休も終えた後も男性が子育てしているという動きについていけていない会社はまだまだ多い。『育休を取らせてあげたのに、何で辞めてしまうんだろう』と感じている会社は多いと思います」 上原さんは、子育てと仕事を両立させる環境を整えなければ、人材の流出が起きると指摘した。 「子育てを優先させたい、仕事を優先させたい、それはタイミングによって変わってくると思います。子育てだけでなく、介護など働きにくい状況というのは、誰もが持つものです。経営層が、働く人たちの価値観が変わってきているということを認識しないと、人材が流出することにつながってしまうと感じています」