カズと話して痛感した「サッカーに対する本気度」 J2最年長が忘れられぬ一緒に飲んだカプチーノの味【コラム】
2021年に本間さんとカズは中里崇宏の仲介によって対面を果たす
水戸が1-0で制した一戦を皮切りに、ゴールキーパーの本間さんとストライカーのカズがピッチ上で同じ時間を共有したのは10回ある。その中には本間さんの述懐通り、後半アディショナルタイムの49分にカズが決勝ゴールを決めて、水戸のホームでカズダンスを舞った2015年6月28日のJ2リーグ第20節も含まれている。 その約1か月後の同年7月26日、今度は水戸が敵地・ニッパツ三ツ沢球技場に乗り込んだ第26節で、カズが後半途中から出場した横浜FCを2-0でシャットアウト。本間さんがリベンジを果たした一戦が、2人にとって最後の“直接対決”となり、本間さんは29年間、そのうち26年間を水戸に捧げたキャリアに幕を降ろした。 もっとも、その間にピッチ外で2人は同じ時間を共有していたことがある。横浜FCと水戸の両方でプレーした経験をもつMF中里崇宏(現Y.S.C.C.横浜)へ、本間さんが頼み込む形でカズへ連絡を入れてもらい、東京都内で会う機会があった、という。中里が夏場に再び水戸へ加入し、半年間だけプレーした2021年後半のある日だった。 国立競技場でクリアソン新宿と対戦した11月11日のJFL第28節後の取材エリア。左足の負傷のために欠場したものの、試合後の取材エリアに姿を現したカズは、本間さんとの接点をこう振り返った。 「何年か前に中里から『会って話を聞かせてください』と連絡があって、おそらく彼が悩んでいた時期ですよね。選手は常に悩んでいるものだし、年齢を重ねていく中で自分の立場やサッカーへの情熱といったものを、どこへ向けていけばいいのか、という話を彼にしたのがきっかけで、連絡先も交換していたんですよ」 たとえ一期一会になろうとも、人との出会いを大切にする。カズはこのときから、中里という偶然の存在が間をとりもつ形で熱い言葉を交わした本間さんのその後を気にするようにになった。カズが続ける。