令和6年度の年金額は実際どうなる?変動の仕組みと受給者ができる対策も解説
老後の生活においては、多くの方の継続的かつ大部分の収入にあたるものに年金が挙げられます。 マクロ経済スライドが令和6年度は発動された 年金には老齢年金、障害年金、遺族年金の3つの種類があり、今回、令和6年度の年金が2.7%のアップされていることから、令和6年度の年金について解説します。 令和6年度は2.7%のアップ 年金額は、毎年度物価や賃金等を勘案して、当該年度の年金額を発表しています。 令和6年度は2.7%のアップとされていますが、それ以上の物価高の影響もあり、日々の生活は実質的にそれほど潤っていないと感じる方も少なくないでしょう。 具体的には、 老齢基礎年金の満額が月額6万8,000円(令和5年度は6万6,250円)、 厚生年金については、 夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額が月額23万483円(令和5年度は22万4,482円)となり、 令和6年6月に支給される年金(令和6年4月分以後)から改定されることとなります。 また、年金生活者支援給付金も同様に令和5年度からアップし、 老齢年金生活者支援給付金は令和6年度については、月額5,310円(令和5年度は5,140円)となり、 ※障害年金生活者支援給付金、遺族年金生活者支援給付金もともに、令和5年度と比較し令和6年度はアップしています。 ※障害年金生活者支援給付金は等級に応じて給付基準額が異なります。 マクロ経済スライドとは 端的には年金が目減りしていく仕組みとなり、毎年度発動されるものではないものの、令和6年度はこのマクロ経済スライドが発動されています。 平成30年度からはキャリーオーバー制度という仕組みが採用され、未調整分が発生した場合には、次年度以降にキャリーオーバーする仕組みが導入されています。 2005年に始まったマクロ経済スライドは2015年以降、2024年始め5回発動されています。 実際にどう変わっているのか? 年金は偶数月に先月までの2か月分を年金として支給します。 よって偶数月に支給される年金が、原則としてこれまでよりも2.7%増えていることとなります。 ただし、それ以上に物価が上がっているため、年金のアップがあったとしても、何も考えずにこれまでと同様の生活はできないと言う声もあるでしょう。 理由として、年金制度は物価の上昇があった場合に、その月から直ちに反映されるものではなく、おおむね1年後から反映されると言う性質があるためです。 どのような対策が必要か? 直ちに制度自体を変えることができず、また個人で物価の調整をすることは不可能と言えるため、公的年金だけでなく、iDeCo等の私的年金が旧来よりもさらに注目されています。 もちろん他の資産形成の方法も想定されますが、iDeCoの秀逸な部分として、老後の資産形成をしながら、かつ高い節税効果がある点は否めません。 iDeCoで積み立てた掛金については、その全額が所得控除の対象となります。 具体的には所得税だけでなく、住民税の負担が軽減されます。 自営業者は確定申告において、会社員の場合は年末調整において節税効果を実感することができます。 なお、ポイントとしては私的年金と言われるiDeCoについては、可能な限り、より早い段階で継続的に取り組んでいくことが重要です。 一例としてiDeCoは60歳以後でなければ途中解約はできず、これは公的年金と同様に、当然短い期間のみ加入しただけでは多くの資産を形成する事は事実上困難であるという面があるからです。 また、いわゆるサラリーマンよりも自営業者の方がiDeCoには高い掛金を納付することが可能であり、十分に検討の余地があります。 一定のタイムラグを考慮して自助努力を 年金額は社会経済情勢等を勘案して毎年改正が行われます。 他方、社会経済情勢等を反映するといっても、毎月反映できるというわけではなく、一定のタイムラグが生じます。 よって、公的年金だけでなく、自身で老後の生活のための自助努力が必用となります。
manetatsu.com 蓑田 真吾