本田翼ら出演ドラマ「リモートで殺される」オンラインミーティングでの演技は難しい?
パソコンのオンラインミーティングの画面を中心に物語が進行するスペシャルドラマ「リモートで殺される」(日本テレビ系)が7月26日に放送・配信され、1週間が過ぎた。同作は緊急事態宣言による自粛期間の最中という設定で、オンラインで集まった高校時代の同級生6人が繰り広げる推理サスペンス。消えた同級生の行方、過去に転落死した女子高生の死の真相を探るうちにリアルタイムで起こる連続殺人に巻き込まれていく。リモートのミーティング画面を用いたドラマ化の試みは他にもあるが、昨年「あなたの番です」が人気を博した秋元康氏が企画・原案、「リング」などで知られる中田秀夫氏が監督を務め、キャストも本田翼、新田真剣佑、柄本時生、早乙女太一、前野朋哉、前田敦子、斎藤飛鳥ら豪華な顔ぶれで関心を集めた。今後もこのスタイルのドラマが出てくる可能性があるなか、対面しての芝居とは異なる苦心はあるのだろうか。
コロナで生活変わるなかドラマも新境地開拓か
「目線が各々バラバラなのはリアルでした。あとは、アップのシーンが必然的に多くなるので、細かい表情の変化が必要とされますね。それに関しては、今回のキャストの中では柄本時生さんがずば抜けていると思いました」と話すのは、アメリカの俳優養成所で演技指導を受けた経験のある30代女優。 「それと、皆さんが一人ずつ別々に撮ったものを合わせているので、シークエンスごとのテンションの緩急に差が出ないようにすることが必要なのではないかと思いました。役者から少し逸れますが、この作品のオンライン飲みのシーンは演出側も苦労したと思います。なぜかといいますと、リモートのシーンがテンポも単調で役者の表現もありきたりで、編集が大変だったのではないかと。バラバラで撮るのであれば、リモートでも良いから読み合わせの時間を多めに取ったほうが良いのではないかと思います」(同) 他にも、「フィルターを通してお芝居するようなものなので、普段よりもリアクション、受け答えなどは気持ち大きくして演じる必要があるかもしれません。その加減が難しいと思います」(30代男優)との意見もあった。 映画監督の50代男性は、演者とは異なる視点から話す。 「どうなんでしょうね。訓練を受けていれば、場所は状況は関係なく対応するってのが表向きのプロの在り方ではあると思いますが。一人芝居だと思えばそんなに苦ではない気もしますね」 一方、役者の力量のバランスが難しいのでは、との声も。 「画面にそれぞれの役者の顔がこちら(視聴者)のほうを向いて並ぶわけで、全員がそれぞれカメラを前に芝居をしている。演技力の差が際立つように思いました。そのバランスをどこで取るのか。演出なのか編集なのか配役なのか、なんなのか。一部、ネット上には演技面での辛辣な感想も上がっていましたが、このスタイルのドラマの課題かもしれません」(テレビ情報メディア40代女性編集者) 閉塞感ただようオンラインミーティングの画面ならではの恐怖もあった「リモートで殺される」。コロナで生活が一変するなか、ドラマもまた新境地へ踏み出していくことになるのか。 (文:志和浩司)