大学のキャンパス移転・再編が相次ぐ…その狙いは? そのひとつ関西学院大学の学長に聞いた
――王子キャンパスの開設が29年4月なら、あと5年しかありません。 王子キャンパスの学生数の最終目標は4000人で、どういう教育組織にするのか、具体的に詰めているところです。 ――それぞれのキャンパスの性格付けが必要ですね。 上ケ原キャンパスと聖和キャンパスは人文社会系、神戸三田キャンパスは理工系、王子キャンパスは学際系を考えています。王子キャンパスは留学生を2割(800人)にするのが目標です。王子キャンパスでは、東アジアをはじめ東南アジアや南アジアからの留学生向けに、英語で学位を取得できるような体制を目指していきたいと思います。 ――キャンパス再編は学部の再編とリンクします。 学部再編にはポイントがあります。学際系の学部をどう整えるかが、各大学の課題になっています。一方で、ディシプリン(学問領域)が確立しており、歴史を積み重ねてきた分野をどのようにPRするかも大切です。 例えば、受験生からよく「経済学部と商学部では学ぶ内容がどう違うか」という質問を受けます。もちろん学ぶ内容は異なりますが、受験生にはわかりにくい。細分化した学問をどう束ねて、自分の将来に関わることとして理解してもらうかが大事です。 ――政府が進めているグリーン(脱炭素)、デジタル分野の学部は考えていますか。 グリーン、デジタル系の学部を本学ならどう実現できるかも検討しています。理工学研究科はJAXA(宇宙航空研究開発機構)と連携大学院協定を結んでおり、宇宙に関わる研究を行っています。あくまで個人的な思いつきですが、気象学を冠に付けた学問分野ができないだろうかと考えます。工学部は、生成AI(人工知能)が社会に入り込んできたので、情報科学を切り出すことも時代の流れかもしれません。 理工学部を21年に4学部に再編しましたが、これを第一幕とすれば、これからが第二幕です。文部科学省のグリーン、デジタル分野への助成金にも申請することも含めて、本学の理工系の強みをどう発展させるか考えています。 他大学ではデータサイエンス系の学部設置が相次いでいますが、どの学部であれ、それぞれの対象に応じたデータ分析についての教育をさらに発展させる必要があると考えています。