美術未経験から3浪「東京藝大」彼女の圧倒的努力 付属校からの内部進学ではなく外部受験目指す
まさかの結果を突きつけられ、いったんはやめようと思った藝大受験。ただ、「負けず嫌いだったため」彼女は3浪を決意します。 「自分よりも評価が下だった人も合格したのに、落ちてしまったのがすごく悔しかったんです。だから、自分が落ちた理由を知りたくて、もう1浪しようと思いました。今まで会った周囲の先生方にも3浪の人が多かったですし、3浪を最後の挑戦にするつもりでした」 「この年は、描きたいときに絵を描きに行って、授業が終わったらすぐに帰るようにした」と語るように、絵への向き合い方も変わったそうです。
「これ以上うまくなる必要はないと思ったので、楽しむことを意識して、予備校に通いました。家に飾りたくなるとか、人にあげたくなるとか、『今自分が描きたいもの』を大切にして描いていましたね」 そうした日々の中で、落ちた理由も「客観性が抜けていた」のが要因だと感じるようになったそうです。 「私はずっと先生や友達など、周囲の人に頼っていました。だから、人がいいと思う絵を描くことにこだわりすぎて、目の前の絵に向き合えてなかったと思います。この年は人に頼らず、自分で考えるようにしたので、素直に自分が好きだと思える絵を描くようになれたと思います」
「楽しむこと」を意識したこの1年は、成績こそ大きな変化はなかったものの、人の目や評価を気にせず、ストレスなく絵を描けるようになっていたそうです。 ■3浪目の挑戦、本番で心が折れる こうして迎えたこの年の藝大受験。 「1次試験で一度も描いたことがない石膏像が出てもうダメだと思ったんです。試験の翌日に予備校に行けなくなるくらい心が折れていて、自分では怖くて1次通過の結果を見ることができませんでした。 そうしたら、スマホに友達から大量にLINEが来ていて。それで合格を知りました。興奮しましたね。2次試験でも興奮状態は続いて『去年見せられなかった自分の作品を、教授陣に見てもらえる』という前向きな気持ちで臨めました」