美術未経験から3浪「東京藝大」彼女の圧倒的努力 付属校からの内部進学ではなく外部受験目指す
「これで落ちたら、もう受からないというくらいまで課題を仕上げて帰った」と語る2次試験。とはいえ、その結果を見るまでは半泣きで、不安に押しつぶされそうだったそうです。 「合格発表の日は、お母さんと一緒に家にいたのですが、発表の10時までずっと布団の中で、半泣きになって、体育座りしていたんです。自信がなかったわけではないのですが、何回も落ちてるし、自分の番号がない怖さを知っているので……。 そしたら、友達から電話がかかってきて。『何だろう?』って思って出たら、『受かってたよ!』って言ってくれたんです。大号泣しました。それからは自分の番号を見てないのに、一気に予備校の先生や友達から、連絡が来て、その連絡に返信し続けていました。ようやく自分で番号を確認しようとしたら、11時になっていました(笑)」
こうしてえずみさんは、激しくも、充実した3浪の生活を終えました。 今、えずみさんは東京藝術大学美術学部工芸科の1年生。「周りの人からの期待がとても大きく、プレッシャーはあります」と語りますが、大学生活を楽しんでいるようです。 彼女に浪人してよかったことを聞くと「家族が結束して仲良くなれたこと」、頑張れた理由については「自分に期待していたから」と語ってくれました。 ■負けず嫌いが浪人期間の頑張りを支えた
「親はずっと、自分のやりたいことを応援してくれました。反抗期で会話しない時期もあったのですが、年数制限を設けず、『納得するまでやるといい』と言ってくれていましたし、親も知らない領域だったので、いろんな場所で話を聞いたり、情報を取ってきてくれて、家族の会話が増えたのがよかったなと思います。 また、私は負けず嫌いで、周りが年々受かっていくなかで『この人が受かるなら、私も受かるかも』と自分自身に期待して、諦めなかったのがよかったですね。浪人して悪かったことは何もないと思います」
過去の成功体験で得てきた自信と、負けず嫌いが浪人期間の頑張りを支えてきた彼女は、「正解がない美術を、楽しんでやるものだと伝えていきたい」と語ります。 その明るさと結果が出るまで努力する姿勢が、きっとどんな道を選ぼうと、彼女の人生を明るいものにしてくれるのだろうと感じました。 えずみまいさんの浪人生活の教訓:未経験の分野に飛び込んでも、正しく十分な量の努力を続ければ成果は出る
濱井 正吾 :教育系ライター