美術未経験から3浪「東京藝大」彼女の圧倒的努力 付属校からの内部進学ではなく外部受験目指す
私の作品はずっと下段の棚でしたね。夏休み終わりにコンクールと呼ばれる予備校内の模試もあって、そこで受講生全体の順位が初めてはっきり出たのですが、私は予備校にいた10人の中で最下位の成績を取ってしまいました」 厳しい現実に直面したえずみさんでしたが、このコンクール後の先生との話し合いで、さらに上の志望校を目指すことにします。 それが、全国から天才が集まる東京藝術大学の工芸科でした。 「(変更の理由は)『武蔵美や多摩美を目指すのであれば、勉強でもいい点を取らないといけないよ』と先生に教えてもらったのがきっかけです。
絵でいっぱいいっぱいなのに勉強もしなきゃいけないのは、ちょっと厳しいなと感じていました。 ただ、そのときに先生に『藝大の工芸科なら、勉強はほぼ見ない』と言われて、素直だった自分は『絵がうまくなりさえすればいいんだ!』と鵜呑みにしてしまい、藝大を目指す決意をしました。改めて、何も受験のことを知らなかったなと思います」 藝大の中でも、特に実技重視である工芸科を志望することに決めたえずみさん。しかし、この年は最後までなかなか絵が上達せずに、1次試験で落ちてしまったそうです。
■藝大一本でいく決意は揺るがなかった 東京藝大の工芸科(2024年度)の入試は、以下の通りです。 1次試験:デッサン(石膏像・静物) 2次試験:平面構成(テーマやモチーフを与えられ、色を使って紙に表現する) 立体構成(水粘土を用いて立体造形物を制作する) 学科(大学入学共通テスト):3教科 国語・外国語・選択科目(地理歴史・公民、理科、数学から1教科)。 現役では落ちてしまい、浪人を決断したえずみさん。その理由は、「藝大一本と決めていたから」でした。
「落ちてしまって行ける大学がないから、浪人するしかない、という感じでしたが、この決断自体にネガティブな感情は一切ありませんでした。自分の周囲も、藝大一本で受けている人が多かったので、浪人する人が結構いたことが、決断した理由としては大きいですね」 こうして、現役のときと同じく千葉美術予備校で1浪を決めたえずみさんは、「オールした日もある」ほど絵を描くことにのめり込んだそうです。 「予備校の先生と、24時間連絡が取れる環境というのがすごくありがたかったですね。夜中に絵を描いたら、写真を撮ってLINEで先生に送り、すぐに講評をいただけたのが、絵の上達につながりました」