考察『光る君へ』45話 笠を脱ぎ捨て、海風を受けて駆けるまひろ(吉高由里子)そして大宰府で周明(松下洸平)と出会う!終盤にきて怒涛の展開の予感
大河ドラマ『光る君へ』 (NHK/日曜夜8:00~)。舞台は平安時代、主人公は『源氏物語』の作者・紫式部。1000年前を生きた女性の手によって光る君=光源氏の物語はどう紡がれていったのか。 最終回まであと3話!「宇治十帖」を書き終えたまひろ(吉高由里子)が「いかないでくれ!」と懇願する道長(柄本佑)を振り切るように旅に出る44話「はばたき」。ドラマを愛するつぶやき人・ぬえさんと、絵師・南天さんが各話を毎週考察する大好評連載47回(特別編2回を含む)です。
「このよをば……」考察大会
「昨夜の道長(柄本佑)の歌だが、あれは一体なんだったんだ?」 道長の「このよをば……」についてのシナゴンの考察大会から始まる。「この世はなにもかも思いのままだ」説の俊賢(本田大輔)、「今宵はまことによい夜だな」説の公任(町田啓太)、月は后を表すから「三人の后が揃い完璧な夜だ」説の行成(渡辺大知)。これらはそれぞれ現代における「このよをば」歌の代表的な解釈だ。 しかし、このドラマに限っては誰も知らない、道長とまひろ(吉高由里子)との大切な思い出と、これまでの人生を振り返っての歌なので、斉信(金田哲)の「なんだったんだ?」が実は一番正解の反応であるというのが面白い。
蘇る道兼の言葉
敦康親王(片岡千之助)と妻・祇子(のりこ/稲川美紅)との間に嫄子(もとこ)女王が生まれている。妻との仲は睦まじく、愛らしい娘に恵まれて、政治的には敗者かもしれないが人間としては幸せそうだ……と思った途端に病が彼を襲い、あっという間に世を去る。寛仁2年(1019年)死去、享年21歳。彼の死後、妻の祇子は出家し、嫄子は頼通(渡邊圭祐)と隆姫(田中日奈子)夫妻が引き取り養育。のちに後朱雀帝に入内し、中宮となった。 ナレーションでは敦康親王の一生を「道長によって奪い尽くされた生涯であった」と語る。 そして親王から奪い尽くした自覚がある道長は、じっと己の影を見つめるのだった。 6話での、次兄・道兼(玉置玲央)の、 「お前は自分だけきれいな所にいると思うておるやもしれぬが、俺たちの影はみな同じほうを向いている」 この言葉が蘇る。一族の栄華のためならば身分の上下に関わらず他者を利用し、帝とその血筋すら無碍に扱って憚らぬ。俺は父上、兄上たちと同じだという思い……しかしその父も兄たちもとうの昔に世を去り、濃く伸びる黒影の重さは誰とも分かち合えない。
【関連記事】
- 考察『光る君へ』23話 宣孝(佐々木蔵之介)が越前に来た!ウニを匙で割ってご馳走する可愛いまひろ(吉高由里子)に「わしの妻になれ」ドンドコドン!
- 考察『光る君へ』24話 まひろ(吉高由里子)に忘れえぬ人がいても「まるごと引き受ける」宣孝(佐々木蔵之介)の大人の余裕と包容力!
- 考察『光る君へ』25話 まひろ(吉高由里子)を娶ったとわざわざ報告する宣孝(佐々木蔵之介)、動揺を隠せない道長(柄本佑)
- もっと考察『光る君へ』平安初心者の夫に「衣装の違いを知ると、ドラマがぐっと身近になる」と語ってみた(特別編)
- 考察『光る君へ』33話 中宮女房ズメンバー紹介!道長(柄本佑)からまひろ(吉高由里子)に贈られた檜扇にはきらめく水辺で遊ぶ、あの日のふたりが…