「独自性」「効率化」が鍵となる大網流の事業拡大戦略とは。2023年「ベストチーム賞」 受賞のマーケティング担当者に直撃インタビュー
「ネットショップ担当者アワード」の「ベストチーム賞」は、フィギュアなどのホビーECを手がける大網の「あみあみ事業部」が受賞した。ベストチーム賞では、EC事業者のロールモデルとなり得るチームを顕彰した。売上アップだけでなく、コンテンツの独自性や、膨大な取扱商品に対して、きちんと細部までページが作り込まれている点を評価。あみあみ事業部 マーケティング部 マーケティング課 課長の小林裕児氏に、EC事業成功のヒントを聞いた。
創業100年以上の老舗ホビーEC
■ 売上高は400億円規模 現在、ホビーEC事業が広く認知されている大網。2006年に創業100周年となり、2019年には運営するECサイト「あみあみ」が20周年を迎えた。国内だけでなく海外向けにも販路を持ち、現在の売上高は400億円規模となっている。
東京・秋葉原に2店構えている実店舗には、国内外を問わず日々多くの顧客が来店している。2024年には、国内に新たな実店舗を2店構える予定だ。そのうちの1店舗「あみあみ秋葉原フィギュアタワー店」は2024年4月26日からプレオープンしている。
2023年5月期におけるEC事業の売上高成長率は前年比約30%増。コロナ禍におけるEC事業への需要を捉えて成長路線を維持したとともに、アフターコロナによるインバウンド需要も売り上げに貢献した。 さらに、事業支援ツールを導入・浸透が社内で進んだことで、データ集計の早期化や、データ結果の社内共有など、各部署の連携がスピードアップしたことも理由にあげられるという。 ■ 海外からのニーズも上昇中 海外向けEC事業の売り上げも堅調に推移している。海外ではすでに10年以上、越境ECを展開してきた。2023年には、EC売上高に占める海外比率が50%を超えた。「越境ECは、早期から市場に参入していることによる先行者メリットを享受できていると感じています」(広報担当者) 越境ECのマーケットプレイス「eBay(イーベイ)」を運営するイーベイ・ジャパン主催の「eBay Japan Awards 2023」(2023年度に優秀な成績をあげた日本の販売者を表彰するアワード)では、アニメグッズカテゴリーの受賞企業に選出された。 海外顧客増加の背景には、近年急速に発達した動画配信サービスの影響もあるようだ。日本アニメの海外ファンも、動画配信サービスによって、日本国内でのアニメ放送とほぼリアルタイムで「今流行っているアニメ」を視聴できるようになった。 このため、昔から知られている著名なタイトルの作品だけではなく、さまざまな日本アニメが海外ファンに浸透しやすい環境となっている。「日本で流行っているものが、そのまま海外でも受け入れられる状況になったことがお客さまの購買を後押ししています」(広報担当者) 大網では、海外の顧客からの「指名買い」も多いという。東京・秋葉原にある既存の実店舗も、海外からの顧客に対してブランディング効果を発揮している。きちんと実店舗があることで、海外の顧客の安心感につながっていると見ている。実店舗に来店する人は、海外からの顧客が半分以上を占める日もある。