JR西日本だから鉄分多め?大阪駅直結「最高峰ホテル」の内側 マリオットと組んだ「唯一無二」の特徴とは
個性とテーマを重んじるオートグラフコレクションだけに、館内の随所に鉄道を意識させる工夫が見られる。ゲストを出迎える正面玄関を抜けると機関車の部品を使用した、「1874」という文字が登場する。これは初代大阪駅の開業年を示している。通路には架線柱などに用いられる碍子がそれとなく並べられており、客室のドアノブは運転室のブレーキハンドルを模している。さらに大阪は水の都とも呼ばれることに由来し、「ステーションスクエア」と名付けられたロビースペースの一角では、給水スペースがあり、往年の特急や新幹線に搭載されていた紙コップが備わっている。
■鉄道をアートに昇華 鉄道でホテルの個性を打ち出すために、「担当スタッフ、デザイナーが鉄道について猛勉強したほか、京都鉄道博物館をはじめ、西日本を中心とした鉄道保存会にもご協力いただいた」(佐藤氏)。JR系列の他ホテルを見ると、いくつか鉄道色を出した演出や客室も見られるが、鉄道をアートとして昇華し、常設的にデザインとして配置したのはこのホテルの大きな“個性”だ。 「鉄道ファンのお客さまはもちろん、インバウンドのお客さまもこうした文化と個性を楽しんでいただいているようだが、こだわりすぎて少しお伝えしきれていない部分もある」と佐藤氏は苦笑する。筆者も鉄道には高い感度を持つ自負があるが、一目ではモチーフがわからないものもあり、謎解きの感覚で館内を巡るのも楽しい。
そして、当然ながらラグジュアリーホテルとしての根幹である、サービス面にも力を入れている。「総料理長から総支配人になった珍しい経歴を持つ支配人の下で働いているので、食事へのこだわりは深い」と話すのは、ホテル内レストラン鉄板焼「瑞」の髙岡俊輔シェフだ。ホテルグランヴィア京都で腕を振るい、オープンと同時に大阪へやってきた。「マリオット系列ということで、“朝食のヨーグルトは数種類を”、“この食材は提供不可”といった独自のルールがあります。また、複数のマリオットをご利用いただいてきた会員の方が多く、丁寧なサービスを心がけています」。