高校の必修科目「情報」、実際何を学んでいる? 「プログラミングだけを学ぶと考えるのは間違い」
――「情報1」は何年生で学ぶのですか? 現在は高校1年次で授業を行う学校が多いです。データ活用の考え方は「情報1」だけでなく、全ての教科の基盤にもなるので、文部科学省としても1年次に学ぶことを推奨しています。ただ、内容の一部を2年次に回す学校や、例外的ですが私立校のなかには3年次に授業を行い、同時に入試対策としているところもあるようです。 「情報1」は2単位なので、基本的には週2時間の授業になります。 ■なぜ高校で「情報1」が必修科目になったのか ――「情報1」が必修科目になった背景は? IT技術が急速に発達した現在、データを活用して課題解決ができる人材はまだまだ不足しており、その人材不足を解消したいという社会的な背景があります。 PCやスマートフォンの普及により、データを「集めやすくなった」「送りやすくなった」「処理しやすくなった」ことで、今はデータを「使わなくてはやっていけない時代」です。 例えば、消費者の多様で細分化されたニーズには「根拠のあるデータ」で応えることが求められますし、少子高齢化の進む日本社会では、技術の伝承においてはこれまでの「師匠を見て覚える」といった感覚的なものから、具体的に数値化したデータで伝えていくことが課題になりました。 ――大学も変わってきているのでしょうか。 産業界はAIやデータ分析に習熟した学生を求めていて、それに応えるべく大学側も近年「データ活用に関連した学部や学科」の新設が相次いでいます。データ活用の授業の強化が進んでいるのです。ところが、高校卒業までにデータ活用について全く勉強していないと、大学で一から教えなくてはならず、在学中に産業界が求めるレベルの人材を育てるのが難しいということが問題になっていました。 そこで大学入試の科目にすることで、高校でデータ活用の「基礎」をしっかり学んだ学生を育てようということになり、高校の授業でも必修になったのです。 ――大学入試では全員が「情報」の試験を受けなくてはいけないのですか。 いいえ、現時点では大学入学共通テストは「全員が受けなくてはいけない」というわけではありません。ただ2025年度入試から、ほとんどの国立大学と公立大学の共通テストで課されます。私立大学については受験科目にあるところとないところもありますし、選択科目として扱っているところもあります。