サンスター技研が焼入れなしの鉄製ブレーキディスク開発。パット製造では東海カーボンと協業
サンスターグループで車用ブレーキ部品など生産財事業を手掛けるサンスター技研(本社・滋賀県草津市)は、熱処理の焼入れを廃止した鉄製ブレーキディスクを開発した。小型四輪車のUTVで採用が決まり、来年にも量産を開始する。 サンスター技研は、製造時のCO2排出削減に向けて熱処理を行わない新しい加工プロセスを試行。従来はプレス加工していた鋼板をレーザー加工とすることで歪みの発生を減らし、ゴルフボールの表面のようにくぼみを付けるディンプル孔を満遍なく配置する設計でクラックを生じにくくした。 ディスクの耐久性に相関するブレーキパットはサンスター技研自身で造っていないため、設計処方したものを東海カーボンと共に加工プロセスを検討し製造を委託。耐摩耗性を高めると共に銅を配合しないパットの実用化に成功した。サンスター技研と東海カーボンの協業はこれが初めて。すでに耐久レース用の車両で採用されており、環境親和性だけでなく機能性への評価も高いという。ブレーキディスクでは、二輪車で使われることが多いステンレスを素材とした焼入れなしの設計にも挑戦中。鉄製ブレーキディスクでも、より生産台数が多いメガモデルでの採用を目指す。サンスター技研MC事業部技術営業部の品川佳範・設計開発グループ長は「当社には固定概念にとらわれない風土がある。今後も共感頂けるメーカーと協力し、共に社会課題の解決に取り組みたい」と話している。