38年ぶり日本一に輝いた阪神タイガース そのチーム名とユニフォームから感じる古代中国の世界観とは?
59年ぶり2回目となる関西を本拠地とするチーム同士の日本シリーズが実現し、セ・リーグの阪神タイガースがパ・リーグのオリックス・バファローズを4勝3敗で退け、1985年以来となる38年ぶり2回目の日本一に輝きました。 建築家で、文化論に関する多数の著書で知られる名古屋工業大学名誉教授・若山滋氏は、阪神タイガースをはじめとするプロ野球のチーム名から、古代中国の世界観が日本文化に与えた影響と現代中国の行方について考えたようです。若山氏が独自の視点で語ります。
タイガースとドラゴンズ
阪神タイガースが日本一になった。38年ぶりということで、大阪は大いにもりあがった。道頓堀に飛び込む人もいたようだが、自己責任を徹底すれば、そういうバカ元気もあっていいような気がする。興奮のない祭りは面白くない。 僕らの少年時代、関西には阪神タイガースのほかにも、阪急ブレーブス、南海ホークス、近鉄バファローズといった球団があった。すべて民間の鉄道会社がオーナーで、都市の肥大によるコミューター(通勤者)の増加と、その人々をファンとするプロ野球チームの成立が一体であったことがうかがわれる。そして何といってもタイガースの人気が群を抜いていた。基本的にスポーツは、勝つチームと選手が人気になるのだが、こと阪神にかぎっては、負けても負けても人気が落ちないのだ。巨人ファンに比べると、阪神ファンには敗者に同情する性格の人が多く、大阪という土地柄にもそういうものがあるようだ。 僕は名古屋で仕事をしていたので、中日ファンにならざるをえなかった。子供のころは巨人ファンで、名古屋に赴任したころは特にどこということもなかったのだが、大学のそばの寿司屋のオヤジなどは、テレビでナイターをやっていると中日の応援をしないと握ってもらえないほどだったので「この街では中日ファンでなければ生きていけない」と感じたのである。そこへ落合がやってきた。僕はこの「バット一本引っさげて請われればどこへでもいく」という“よそ者感”のあるバッターのファンになり、やがて監督となって実績をあげたときも応援した。 さて今回のテーマとしたいのは、阪神タイガースというチーム名に古代中国の世界観が反映しているということであるが、これは中日ドラゴンズと対照すると分かりやすい。そしてこれを機会に、その古代中国の世界観の、日本文化への影響と現代中国の行方について考えてみたい。