「自分はダメ人間と思ってきた」特別支援教育専門家が発達障害の子どもと向き合って気づいたまさかの事実。「行動が自分とそっくりで…」
◆遊んで信頼関係ができると、次の発達に移動する 自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは、人への興味が薄いことが、発達の遅れにつながることがあります。そこで、大人はまず、「子どものやりたい遊びにつきあう」という意識が大切です。 大人が、自分の興味や関心にそって遊んでくれることで、子ども側には、「この人といると楽しい」というポジティブな気持ちが芽生えて、大人への信頼関係が築けるようになります。 子どものやりたい遊びにつきあうことで、子どもは、「この人と一緒に話したい」と感じるようになり、「この人に話しかけよう」「先生の話なら聞こう」と意識して、話す/聞く力が発達します。 また、「この人と一緒に遊びたい」と感じているので、大人から「これで遊ぼう!」と提案されると、「本当はこっちで遊びたいけど、先生と一緒に遊びたいから、誘いに乗ってあげよう」と、自分の考えに折り合いをつけて、相手に合わせて誘いに乗ってくれるようにもなります。 そして、ルールの説明を聞いたときでも、「この人と遊びたいから、ルールは守ろう」と規範意識が育ちます。 複数人で遊ぶ場合は、「この人を困らせたくないな」と感じて、マナーを守って参加してくれるようになります。 このように、子どもの提案に乗って遊ぶことで、1信頼関係の構築、2話す/聞く力、3我慢して折り合いをつける力、4ルール、マナーを守る力など、さまざまな力が発達していくのです。
◆まずは子どもの提案に10割乗って、一緒に遊んでみましょう 徐々に関係性ができてきたら、「今日はこれで遊んでみない?」と誘ってみましょう。誘いに乗ってくれるなら、関係性が出てきた証拠です。 ただし、ここで油断して、大人から提案ばかりしてしまうと、「この先生は面白くなくなった」と関係性が崩れ始めます。 ASDは、自身の興味関心へのこだわりが強い傾向があります。こんなときは、半分以上、できれば 割は本人のやりたい遊びに没頭させてあげましょう。 もちろん、大人もその世界に入って遊ぶことが大切であり、「好き」という気持ちを生かすことは、すべての場面で重要です。ただし、他者と折り合いをつける社会性も、自立には必要です。 だからこそ、残りの3割は、大人から遊びを提案して、社会性を伸ばす機会をつくってあげることが必要です。 後ほどその具体的な方法についてはご紹介していきますが、時間をかけて関わることで、子どもは社会性を次第に育めるようになります。 ※本稿は『「できる」が増えて「自立心」がどんどんアップ! 発達障害&グレーゾーンの子への接し方・育て方』(大和出版)の一部を再編集したものです。
前田智行
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