「自分はダメ人間と思ってきた」特別支援教育専門家が発達障害の子どもと向き合って気づいたまさかの事実。「行動が自分とそっくりで…」
特別支援教育の専門家で、500名以上の子どもの支援に携わる前田智行氏は、「実は私自身幼いころから問題行動が目立つ子どもでした」と言います。当事者であり支援のプロフェッショナルだからこそわかる、「今本当にすべきこと」とは?「子育ての突破口が見えた!」と共感・感謝の声が多数の著書『「できる」が増えて「自立心」がどんどんアップ! 発達障害&グレーゾーンの子への接し方・育て方』から一部を抜粋して紹介します。 【書影】500名以上の子どもの支援に関わってきた、特別支援教育の専門家 前田智行さん著書『「できる」が増えて「自立心」がどんどんアップ! 発達障害&グレーゾーンの子への接し方・育て方』 * * * * * * * ◆発達障害・グレーゾーンの子どもたちに関わり始めたきっかけ 私はこれまで、子どもの「育ち」に寄り添いながら、小学校や放課後等デイサービスで働いてきました。 また、特別支援教育の専門家という形で、500名以上の子どもの支援に関わりながら、支援に関する情報発信も多数行ってきました。 そもそも、なぜ私がこの発達障害・グレーゾーンの子どもたちに関わり始めたのか――。 それは、小学校で働き始めて3年目の出来事がきっかけです。 新学期を迎え、新しく担任するクラスが決まったとき、私は前任の先生から、「前田先生のクラスには要注意な子どもがいるから、これを読んでおいて」と、とある子どもの引き継ぎ書類を渡されました。 そこには、「忘れ物が多い、授業中に離席する、授業に参加しない、指示は無視する、他の子とトラブルを起こす、自閉症・ADHD(注意欠如・多動症)の診断があり、地域の療育 センターとつながっている……」などなど、多くのことが書かれていました。 そしていざ、対面してみると、驚きました。引き継ぎ書類とほぼ同様の行動がその子には見られたのですが、それ以上に、行動の一つひとつが、私自身の子どもの頃とそっくりだったからです。
◆私自身も、幼い頃から問題行動が目立つ子どもでした 残念ながら、大人になってもその傾向は残り続け、社会の中で、どのように生きていけばいいのか、悩む日が続いていました。 そんなとき、自分とそっくりな子どもの担任をすることになり、しかもその子は発達障害と診断されている……。 「私ももしかして、発達障害だったのか……?」このとき私は、これまでの点と線が一瞬でつながりました。 そして休日、病院に行き、検査や医師のヒアリングを受けたところ、医師からは発達障害(自閉症、ADHD)の可能性が高いことを伝えられ、アトモキセチン(ストラテラ)というADHDの薬を使って様子をみることが決まりました。 さらに医師からは、「今まで学校とか仕事で苦労したと思うけれど、それは性格の問題じゃなくて、発達障害のせいだからね」とも言われたのです。 これまで私は、人に迷惑をかけて生きてきたという自覚が強かったので、自分はダメ人間である、と長い間思っていました。 だからこそ、医師の言葉を聞いて、「私の人間性がダメだったわけじゃなかったんだな……と、つい泣いて喜んでしまったことを、今でもよく覚えています。 一方で、学校で怒られてばかりの子どもたちも、自分の背景を知らないで苦しんでいるのかもしれないと考え始めました。 そしてこれを機に、発達障害などの特別支援教育について真剣に学ぶ日々がスタートしたのです。
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