全品980円以下なのに機能は上!? 激戦レディースインナー市場に挑む、ワークマンの勝算
作業服最大手のワークマンが、レディースインナー市場に参入を発表したのが2023年。この「シン・呼吸するインナー」を武器に、王者ユニクロをはじめとした強力な競合が多数ひしめき合う、レッドオーシャンに飛び込んだ。 それから1年。ワークマンはさらに攻勢をかけるため、秋冬向けの「シン・ホッとするインナー」を発表した。 今回はワークマンのインナーの開発責任者を務める役員待遇製品回開発第2部長 北村武士さんに、ワークマン公式アンバサダーを務める山田耕史が、激戦レディースインナー市場での勝算と今後展開予定の新製品について伺った。
「価格は半分、機能は上」を目指す
山田耕史(以下、山田) 「シン・呼吸するインナー」は、どういった経緯で企画が始まったのでしょうか? 北村武士(以下、北村) 女性をメインターゲットに据えた新業態「#ワークマン女子」を新たに展開することが決まったときに、品揃えの核となるインナーがなかったことがきっかけでした。 山田: ワークマンがレディースインナー市場に参入することは、2023年8月に開催された新製品発表会でアナウンスされましたね。僕もその発表会に参加していたので、よく覚えています。強力なライバルが多数存在する市場に参入するにあたり、どういったところに重点を置いて企画されたのでしょうか? 北村: 我々は後発ですので、やはり価格には非常にこだわりました。先行していた他社さんの商品を徹底的に研究したうえで、生地メーカーさんと共同開発することで、品質は落とさず、いかに安くするかで勝負しています。 肌着は毎日着用するものなので、安ければ安いほどうれしいですし、低価格ですとセット買いもしていただきやすくなります。 2024年秋冬から新展開する機能インナー「シン・ホッとするインナー」では、全品980円以下という価格設定にしています。
山田: 最近は物価高などの影響もあり、機能インナーはマス向けブランドでも2,000円以上することは珍しくありません。それを大きく下回る価格は、どうやって実現させているのですか? 北村: 低価格を実現するためにもっとも効果的なのは、やはり生地の大量発注です。ワークマンは全国で1,000店舗以上のお店で販売するので、相当な販売数になります。さらに、縫製工場の閑散期を狙って発注することで、コストを削減しています。 インナーは一般的な生地に比べてストレッチ性が高く、薄いので、縫製には特別な技術が必要になりますが、そういった生地の扱いに長けている工場と長年の付き合いがあるのも、大きな強みになります。 また、ワークマンは確かにレディースインナーについては新参者ですが、メンズインナーで長年培った経験がありますし、特に機能生地の開発についてのノウハウは、他社さんには負けません。