明石商、夢の舞台再び チーム一丸、闘志燃やす /兵庫
「センバツ交流試合」の開催が決まった10日、中止になった第92回選抜高校野球大会に出場予定だった明石商も招待校に選ばれた。狭間善徳監督(56)が同校で取材に応じ「近畿の代表として選ばれた以上、明石商業の誇りをもち、ベストを尽くす」と意気込みを語った。新型コロナウイルスの感染拡大で夏の甲子園も中止となり、救済策の決定に「夢の舞台に足を踏み入れて試合ができ、子どもたちにはこの上ない喜びだと思う」と語った。【中田敦子、韓光勲、浜本年弘】 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 知らせが届いた10日は分散登校のため、学校に来ていた野球部員も半数ほどの約50人。甲子園で各校が1試合ずつ戦えるなどの決定内容は、練習前に狭間監督が伝え、部員らは表情一つ変えずに聞いたという。 県高野連が開催する代替大会に向けて、6月2日から練習を再開し、平日の2日と土日のいずれかの計3日、1日あたり90分間に限って、ノックや走り込みなどをしていた。狭間監督は「休校中の2カ月間で、体力が低下したことは否めない。今まで培ったものを試合で出せるよう、意識をしっかり持たせて練習に取り組みたい」と話した。 15日から通常の練習に戻す予定で、いよいよ部員が全員集合する。狭間監督はセンバツ交流試合に向けて「あきらめずに、チーム一丸となって戦う姿を見せたい」と静かな闘志を燃やした。 ◇市民らも喜び 市民からも歓迎の声が上がった。明石市の団体職員、川崎奈央子さんは、15年前に明石商を卒業。2019年の甲子園で春夏連続ベスト4入りした活躍などを振り返り「甲子園で母校の名が広く知られたので、今年は春と夏の大会がなくなって残念に思っていた。別の形にしても、今まで頑張ってきた明商の選手、特に3年生が各地の選手たちとスポーツで交流する機会ができてよかった」と声を弾ませた。 ◇ センバツの中止が決まった3月、狭間監督は「残念だが、夏に向けて頑張るしかない」と語っていた。普段は冗舌だが、短い言葉に悔しさがにじんでいた。「今年こそ日本一」にかける思いは監督、選手とも強かった。 19年は春夏連続で甲子園で4強に入り、強豪の一角に。新チームにはプロ注目の来田涼斗主将(3年)と中森俊介投手(同)が残り、秋の近畿大会では当時1年だった福本綺羅外野手(2年)が4番に座るなど、「一丸となって戦う姿勢は前年のチームに勝る」(中森投手)と手応えがあった。今年1月にセンバツ出場が決まった際、来田主将は「粘り強い野球で日本一を目指す」と悲願を語っていた。 チームは新型コロナへの対策も素早く、手洗いや部員全員の検温を徹底。3月には報道陣の取材やファンの見学も断り、外部との接触機会を減らした。チームから感染者を絶対に出さないためだった。4月から全体練習を中止した後も、無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使って部員同士で練習メニューを伝え合い、ランニングや筋トレの成果をコーチに報告するなどして鍛錬を重ねていた。 ◇西宮市長コメント 地元、西宮市の石井登志郎市長は「選手の皆さんが、憧れの聖地甲子園でプレーでき、再び、金属音が浜風に乗って響き渡る、そのシーンが戻ってくることをうれしく思うと共に、尽力された関係者に敬意を表します。新型コロナウイルス感染拡大防止策を行い、安心してお迎えできるよう環境を整えます」とのコメントを出した。 〔阪神版〕