「お前らは犬を飼うなと言われているようで嫌だった」貧しい家庭で育ったパックンが、自身の経験から考える貧困支援のあり方
コミュニケーションが鍵。日本の“隠れ貧困”をなくすために、私たちができること
――私たちは身近な貧困問題とどう向き合うべきだと思いますか。 パックン: 日本の貧困は外から見えにくい「隠れ貧困」です。アメリカの場合、住むエリアや職業からその人の経済状況がわかりますが、日本はそうじゃない。身近なところに苦しんでいる人がいても気づくのが難しいから、必要な支援が行き届かないんです。 まずコミュニケーションが鍵だと思うんですよ。近所の方々に「いいお天気ですね、最近どうですか?」「ご家族はお元気ですか?」と話しかけてみる。そうすると、いろんなことが見えてきます。もし何かに困っている様子だったら「何かできることはありますか?」って。「放課後にお子さん見ていましょうか」「一緒にテレビを見るくらいならできますよ」って声をかけてもいいんじゃないかなと思うんです。 日本の方は謙虚だから、本当は助けてほしくても「迷惑になるから」と断るかもしれないけど、何回か声をかけてみましょう。もしサポートを断られたとしても、その人が本当に困った時に「そういえば、助けると声をかけてくれた人がいた」と思い出してくれるかもしれません。それってすごく意味のあることだと思うんですよ。 もちろん、政治的な解決も必要です。そこに向けて僕たちができることもあります。たとえば、地元の政治家さんって、近所のお祭りとかに顔を出すじゃないですか。その時に「貧困問題についてどう思いますか?」って声をかけてみるとか。具体的なトピックについて言われるのは珍しいので、記憶に残ると思いますよ。 みんなで地元の政治家に声をかけるようになったらムーブメントになりますよ。そうすれば、具体的な動きにつながるかもしれません。政治家は我々の代表なので、遠慮する必要はありません。我々が上げた声をしっかりと国にも届けてもらいましょう。 ----- パトリック・ハーラン 1970年、アメリカ・コロラド州出身。タレント。1993年、ハーバード大学卒業後、来日。1997年に吉田眞とお笑いコンビパックンマックンを結成。芸人・タレントとしてテレビ番組などで活躍するかたわら、司会やコメンテーターとしても多くの報道番組にも出演。東京工業大学の非常勤講師、流通経済大学の客員教授も務める。 文・中村英里 (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo! JAPANが共同で制作しました)