アンコールワットでもプノンペンでもない!カンボジア第3の都市バッタンバンの魅力って?
東南アジアに位置するカンボジア。カンボジアの街と聞いて、まず人々が連想するのは、世界遺産であるアンコールワット寺院のあるシェムリアップ、または首都のプノンペンでしょう。 【写真17枚】街の中心部にはフランス植民地時代の建物も。カンボジアの定番料理、サーカスショーなどカンボジア第3の都市バッタンバンの様子を写真で見る しかし、今回、私が向かったのは西部にあるバッタンバン。「聞いたことないな~」と言われるでしょうが、実は、この国で3番目に大きな都市です。 とは言うものの、プノンペンと比べるとだいぶ静か。その分、ノンビリとしていて、人々も純朴です。写真を撮っていると、向こうからスマイルしてくれたりポーズを撮ってくれたり。そんなバッタンバンの街をゆっくりと歩いてみました!
過去の悲惨な歴史に負けない笑顔の人々
◆古い欧米風の街並みが印象的! このバッタンバン、11世紀から栄えている歴史ある場所。街の中心部にはフランス植民地時代の建物も残っていて風情があります。 朝、街を貫いて流れるサンカー川沿いを歩いていると、欧米人のオジサンや車椅子の少年を含めたジョガーたちを発見。声をかけてみると……。 「教会主催で毎週走っているのさ。話をしても良いけど、今はジョギング中だから、ついて来てくれないか」 ということで、後を追ったのですが、少年たちはもちろんのこと、欧米人オジサンも速い!遅れながらもついて行きました。息の荒くなっている私を見かねて、オジサンはグループにストップの声をかけてくれました。 「私はフランスからの宣教師さ。この子はカンボジア内戦時代の地雷で、足を無くしてしまったんだ。ウチの教会ではこういった子たちに車椅子を提供し、週末には、こんな風にみんなでジョギングをしているのさ」 1970年代、ポル・ポトの率いるクメールルージュは原始共産主義という思想の下、人口の約3分の1に当たる200万人以上を虐殺しました。そして、この内戦時代に地雷がたくさん設置され、今も犠牲者が出ているのです。正に負の遺産。少年はハンディキャップにも関わらず純朴な笑顔を浮かべていました。 ◆絶品、豚焼きに舌鼓! サンカー川から一本それた通りを歩いていると、床屋さんで早朝からお母さん付き添いの少年がヘアカット中。 「店を持って20年間ここで営業しているよ。みんな私のカットを気に入ってくれてね」と店主さん。 ちなみに、この床屋さんの名前は『ソフォモンコンタマイ(ニュー・ハピネス)』。お客さんがみんな綺麗に髪を整えてもらって幸せになるのでしょう! お腹が空いてきたので朝食をとることに。店頭で炭火で豚肉を焼いている食堂を発見、良い匂いがします! そのまま入店して注文。この料理、カンボジア名物料理の一つでバイサイチュルークといいます。焼いた豚に卵焼き、甘酸っぱい漬物、スープが付いてきます。焼きたてだから、もう美味いこと美味いこと!それも4000リエル(約140円)と格安です。 ◆今も崇められる街の始祖像! 次はサンカー川を隔てた街の東側へ移動。ここに街の象徴であるター・ドンボーンという昔の武将の像があります。高さは8メートル。思わず笑ってしまいそうになるトボケタ顔をしていますが、この方、バッタンバンの始祖として崇められています。私が訪れた時も多くの人がお供えをしたり、記念撮影をしていました。 ター・ドンボーンさんが持っている長い棒ですが、お米を美味しくするという不思議な力を持った棒だそう。ちなみに、この地方は稲作が盛んです。そして、このマジカルな棒をですね、王位継承で争っていた相手に投げつけて失くしてしまったそうなんです。 クメール語で“バッ”が失くすで“ドンボーン”が棒、この事件(?)が起こってから、この街はバッタンバンと呼ばれるようになったとか。このエピソードだけ聞くと、何かダメな人のように思ってしまいますが……バッタンバンの方々、許してください! ◆ギネス記録達成のサーカスショー! この街にはギネス記録を達成したサーカスショーがあります。NGO団体『ファーレ・ポンルー・セルパック(クメール語で“芸術の灯かり”)』は、先述の内戦でフランスに亡命していた若者たちが故郷へ戻り、子供たちのPTSDセラピーのため1994年に始めたアートスクールです。この学校では絵画の他、音楽、舞踏、演劇、サーカスなども教えていて、在校生たちが『ファーレ』というドラマ仕立てのサーカスショーを行っています。 2022年に24時間連続公演を達成しギネスに認定されました。知名度が上がり、今では世界中からこのショーを観るため世界各国から人々が集まっているそうです。 実際に観てみましたが、身体能力を駆使したアクロバティックなパフォーマンスが圧巻でした!彼らの充実した顔付きも印象的。 日本ではあまり知られていないバッタンバンですが、訪れる価値が絶対あると思います! 私が書きました! タイ・バンコク在住ライター 梅本昌男 タイを含めた東南アジア各国で取材、JAL機内誌スカイワードなどに執筆。観光からビジネス、グルメ、エンタテインメントまで幅広く網羅する。海外書き人クラブ会員。
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