「私、生きていていいんだ」 住職らのひとり親家庭支援「おてらおやつクラブ」活動が本に
食品ロスジャーナリストの井出留美さんが、ひとり親家庭を支援する認定NPO法人「おてらおやつクラブ」(奈良県田原本町)の活動の記録をまとめた「おてらおやつクラブ物語-子どもの貧困のない社会をめざして」(旬報社)を出版した。約10年前に始まった同法人の活動は今や全国に広まり、井出さんは「もっと多くの人に知ってもらいたい」と話している。 クラブは、平成25年に大阪市で起きた母子の餓死事件を受け、安養寺(同町)の松島靖朗住職が寺の「おそなえ」を困っている人たちに「おすそわけ」したのが始まり。個人や企業から「おそなえ」された食品や日用品をひとり親家庭に送る活動を続け、現在、同法人に登録されている支援が必要な家庭は全国で約1万4千世帯に上り、賛同寺院は約2千寺院を超える。 同書では、松島住職がクラブを発足するまでの経緯や、ひとり親家庭を取り巻く環境、日本のフードロスの現状について説明。また、おすそわけを受け取った家庭から届いた手紙も紹介し、「私、生きていていいんだ。息子も私も明日また生きていいんだと明日への希望になりました」(30代女性)などと、切実な言葉をつづっている。 著者の井出さんは、23年の東日本大震災の支援物資が届けられずに廃棄されることがあるということを知って衝撃を受け、食品ロス問題の専門家として活動をスタート。同法人の活動に賛同して監事を務め、今夏に安養寺で行われたおすそわけの箱詰め作業を手伝ったりしている。 11月末に奈良市の東大寺で出版を記念してトークイベントが開かれ、井出さんは「豊かな日本にあって、公的な支援から取りこぼされている家庭もある。そんな家庭に支援を続けるクラブについてさらに多くの人に知ってもらいたい」と呼びかけた。 162ページ。1760円。子供たちにも手にとってもらいやすいよう、文章はわかりやすい表現を心がけたといい、漢字の読み仮名も記載している。印税の一部は同法人の活動に寄付される。
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