石破自民が無様な大敗「誰も気づかなかった本当の原因」…なぜ「岩盤支持層」までソッポを向いたのか
自民党は無党派層から「ソッポ」を向かれ始めた
つまり、すでに自民党は無党派層から「ソッポ」を向かれ始めていたのだ。2012年から第1党の座を確保できたのは、50代以上の有権者に加えて「若者」の票を取り込んでいたことが理由にある。朝日新聞が2021年11月1日配信した2021年衆院選の分析記事を見ると、比例代表での投票先は10代・20代で自民党が40%を獲得し、30代・40代でも30%を超えていることがわかる。だが、今回の衆院選では国民民主党、れいわ新選組が若者や働き盛りの人々に響く公約を掲げたことで、従来の“勝ち筋”が抜けてしまったと言える。 かつて国民的な人気を誇った小泉純一郎首相は「自民党を延命させた」といわれた。その意味では、史上最長の長期政権を築いた安倍元首相も同じだろう。若者からの人気も獲得し、保守層を中心に「岩盤支持層」と呼ばれる強固な支持基盤を得てきた。9月の自民党総裁選で「保守派のマドンナ」高市氏が決選投票まで進んだことを見ても、保守層には“親安倍路線”が響くのは間違いない。 だが、これまで安倍氏と距離を置いて批判的な言動も繰り返してきた石破氏には“岩盤”がない。「国賊発言」で問題視された村上誠一郎衆院議員を総務相に起用し、アベノミクスの修正を目指す点なども“岩盤”からすればマイナスと映るはずだ。つまり、石破自民党の本当の敗因は「無党派層」「若者」が離れつつあったところに、「岩盤支持層」までソッポを向いたことにある。勝利の方程式が瓦解していたのだ。
スター不在の自民党
共同通信が選挙後の10月28、29両日に実施した世論調査によると、石破内閣の支持率は32.1%となり、内閣発足直後の調査(10月1、2日実施)から18.6ポイントも下落。不支持率は52.2%となった。自民の議席減に裏金問題の影響があったと思うかとの答えは91.4%に上り、自民党と公明党による連立政権継続を「望まない」としたのは53.0%に達した。 読売新聞の調査(10月28、29日)でも石破内閣の支持率は34%で内閣発足から1カ月足らずで17ポイントも下落。不支持率は19ポイントも上昇し、51%となった。政党支持率を見ると、自民党は38%から25%に下落。立憲民主党は14%に倍増し、国民民主党は1%から7%に急上昇している。 ただ、今回の結果を石破氏だけの責任とするのは無理がある。自公の比例票が1996年の比例代表導入以降の衆院選で過去最少となったことを考えれば、小泉純一郎氏や安倍晋三氏という“スター”が不在であれば早晩行き着いた結果と言えるからだ。