石破自民が無様な大敗「誰も気づかなかった本当の原因」…なぜ「岩盤支持層」までソッポを向いたのか
比例代表投票先で自民党トップは18歳・19歳と40代以上
国民民主党、れいわ新選組が伸長した理由は明らかだ。日本テレビ系列と読売新聞が行った出口調査を見ると、比例代表の投票先で自民党がトップだったのは18歳・19歳と40代以上に限られる。20代と30代は国民民主党が20%を超えて最も多い。興味深いのは、自民党だけでなく公明党や立憲民主党、共産党は年代が上になるにつれて選ばれる率が高まるのに対して、国民民主党は20代(26%)、れいわ新選組は30代・40代(12%)が最も高くなっている点にある。この傾向は、朝日新聞の出口調査でもほぼ同じだ。 今回の衆院選で国民民主党は「手取りを増やす」と若者を中心に働きかけ、年収103万円を超えると所得税が課税される「103万円の壁」解消やガソリン税の上乗せ部分の課税を停止する「トリガー条項」凍結解除などを掲げた。れいわ新選組は、消費税廃止や社会保険料引き下げ、季節ごとの10万円支給などを訴えた。物価高に苦しむ人々だけでなく、収入が増えずに生活が困窮する若者にアプローチし、SNSを積極活用した戦略も奏功した形だ。組織戦を展開した他の既成政党とは戦術も視点も異なる。
「石破自民党だから票を減らした」は本当か
支持政党を持たない無党派層の取り込みは議席数に大きく影響する。時事通信の出口調査によると、全体の約3割を占める無党派層の比例代表での投票先は、立憲民主党が最多の27.4%で、自民党は16.9%、国民民主党14.9%、れいわ新選組8.3%だった。政権批判票は立憲、国民民主、れいわに分散したことがわかる。ただ、先に触れたように立憲の比例票は前回から約7万票の伸びにとどまる。つまり、無党派層の政権批判票はある程度吸収していても、それ以外の票は減ったことを意味する。 今回の衆院選結果を受けて、自民党内には「石破自民党だから票を減らした」との声がある。だが、本当にそうだろうか。自民党は安倍晋三元首相が2012年末に政権奪還を果たして以降、国政選挙で連勝を重ねてきたのは事実だ。しかし、無党派層の比例代表での投票先は2014年の衆院選を除いて自民党はトップだったわけではない。 自民党は2012年の衆院選で圧倒的勝利を収めて294議席を獲得。2014年は291議席、2017年は284議席、2021年は261議席を得ている。ただ、10月27日に配信された朝日新聞の出口調査に関する分析記事によれば、自民党は2012年の衆院選比例代表での投票先が19%にとどまり、維新の28%に差をつけられた。2014年は自民と維新が最も多い22%で並んだが、当時の民主党も20%に迫っている。それ以降の衆院選では立憲がトップで、2017年は立憲29%(自民は21%)、2021年は立憲21%(自民は19%)だった。