石破自民が無様な大敗「誰も気づかなかった本当の原因」…なぜ「岩盤支持層」までソッポを向いたのか
自民党大敗の敗因すべてを石破執行部に被せるのは短絡的
自民党でも9月の総裁選で争った高市早苗前経済安全保障相を支持した議員からは「石破政権への信を問うてこの結果、ということを軽視しすぎではないのか」「選対委員長の辞任で済む話ではない」などと首相への不満が爆発寸前だ。山口県連や千葉県連などからも首相の責任を問う声が広がる。 たしかに、衆院選の直前になって裏金問題に関係した候補者を「非公認・比例重複なし」としたことや非公認候補が代表を務める支部に2000万円を支給した執行部の判断は混乱を招き、さらに逆風を強めたことは否めない。石破氏の言動の“変節”がメディアに取り上げられ、自民党総裁選で上昇したはずの期待感が失望に変わったこともマイナスに働いただろう。 ただ、筆者は今回の自民党大敗の敗因すべてを石破執行部に被せるのは短絡的であると感じる。その理由は、すでに自民党そのものが「オワコン」と化していたように映るからだ。実際、共同通信が10月28、29日に実施した世論調査によれば、石破首相が過半数割れの責任をとって辞任すべきとの回答は28.6%にとどまり、辞任は必要ないが65.7%だった。読売新聞の調査でも辞任すべきとは「思わない」が56%、「思う」は29%となっている。この点を踏まえれば、国民の多くは「石破首相続投」にゴーサインを出していると言える。 では、自民党大敗の「本当の敗因」は何だったのか。それは先に触れたように旧来の自民党のあり方、選挙手法が時代にもはや追いついていけていないことにある。今回の選挙結果を見ると、自民党は比例票が2021年の前回衆院選(1991万票)から533万票も減らした。実に26.8%もの下落で計1458万票にまで落ち込んでいる。立憲民主党は公示前の98議席から148議席に増やしたが、1156万票で前回から約7万票しか増えていない。
選挙手法がすでに「オワコン」と化
増えたのは、議席を4倍増にした国民民主党の617万票(前回比プラス358万票)、れいわ新選組の381万票(同プラス159万票)だ。衆院選に初めて臨んだ参政党は187万票、日本保守党が115万票を獲得した。 その他の既成政党を見ると、公明党は596万票でマイナス115万票、日本維新の会が805万票でマイナス294万票、共産党は417万票でマイナス81万票、社民党は102万票でマイナス9万票と軒並み減らしていることがわかる。つまり国民民主党、れいわ新選組を除き、有権者の多くは既成政党に「NO」を突きつけたのだ。その意味では、ほとんどの既成政党のあり方、選挙手法がすでに「オワコン」と化しているとも言えるだろう。