ホンダ新型「CR-V e:FCEV」が凄かった! メリットしかない“理想のシステム”を公道で試乗
自然な走行フィールに感激! もはや「特殊なクルマ」ではない!
新型CR-V e:FCEVのドライブフィールは、FCEVらしく静かでなめらかでリニアな走りが印象的で、爽快そのものです。 定格出力60kW、最大出力130kWの数値どおり、ビックリするような速さではありませんが、31Nmの最大トルクを低速から安定して発揮する特性により、非常に車速をコントロールしやすいことも印象的でした。
ノーマルモードでもストレスなく走れますが、スポーツモードではよりアクセルレスポンスが俊敏になります。 エネルギーマネージメントについて、FC電力とバッテリー電力を自動でマネージメントする「AUTO」、バッテリー残量を維持する「SAVE」、FCからバッテリーを充電する「CHARGE」、十分に充電されている状態でバッテリー電力を優先して使う「EV」という4つのモードが選択できるようになっています。 FCEVなので充電するときに音もなく、出るのは水だけで、排出ガスやCO2を出すこともありません。もちろん走行時だけでなく外部に給電するときも同じなので、罪悪感がありません。 車内は広々としていて乗り心地も非常に快適です。 これにはバイオ合皮を用いたというたっぷりとしたサイズで肉厚のシートも効いているに違いありません。ステアリングホイールにも触感のよい合皮が適用されています。 走りに重々しさもなく、現行CR-Vのハイブリッドモデル「e:HEV」(2WD)に比べ、重量配分は0.8%だけフロントが増えていますが、重心高が11mm低くなったことが効いてか、ロールの遅れが小さく、一体感のある走りを実現しています。 さらには、車体の各部が強化されているほか、フロアカバーやフロントのボトムへのスポイラーやストレイキの追加などの空力対策により、試乗では接地感と直進安定性の向上が図られた効果らしき点も感じられます。 なお新型CR-V e:FCEVは、アメリカのオハイオの工場で生産された車両が日本に輸入され、年間に70台だけ導入される予定となっています。 せっかく、より多くの人にFCEVに乗ってもらえるようにと企画されたクルマであり、実際にもこのクルマに関心を持つ人は大勢いると思うので、もっと増えるといいのにと願うばかりです。
※ ※ ※ 今回の試乗を通じて、ベースの“CR-V”というクルマ自体の素性の良さも同時にヒシヒシと伝わってきました。 いろいろ事情はあると思いますが、せっかくなので通常のCR-Vも日本に導入して欲しいと思わずにいられません。 実は海外市場では販売されているCR-Vには、ガソリンVTECターボ車やe:HEV、e:PHEV(プラグインハイブリッド)など、さまざまなパワートレインを載せたモデルが用意されています。 筆者(モータージャーナリスト 岡本 幸一郎)は残念ながらいずれも未試乗なので、ぜひそちらにも一度日本で確かめてみたいと切に願うところです。
岡本幸一郎