アイデアの90%は失敗する。だから覚えておきたい「低リスクで成功を見極める戦術」2つ
そのアイデアは成功するか?
2つ目のプレトタイピングは、「玄関口」を設け、その製品やサービスが実在するかのようなふりをして、あまりお金をかけずにアイデアの市場性を調べるというものです。 この「玄関口」は、実際の店頭だけでなく、広告、ウェブサイト、パンフレットなども含みます。 サヴォイア氏は、雑誌『WIRED』の創刊編集長のケヴィン・ケリー氏の著書を引用するかたちで、この手法の古典的な事例を取り上げています。孫引きすると、ケリー氏は次のように「ニセの玄関」型のプレトタイピングを実施しました。 最初のビジネスは200ドルではじめた。『ローリングストーン』誌の後ろに広告スペースを買って、低予算旅行向けのガイドブックのカタログを1ドルで送ると書いたんだ。といっても、そんなカタログも本の在庫もまだこの世に存在しなかった。注文が十分に集まらなかったら、[すべての注文の]お金を返すつもりだったんだ。だけどブートストラップ(低予算でビジネスを立ち上げること)を心がけたおかげで、なんとかうまくいった。(本書153pより) これは1980年代の話です。今なら、インターネット上で同様の仕掛けができるでしょう。さて、サヴォイア氏は、実店舗を開業すべきかどうかの判断材料となる、「ニセの玄関」の活用例も挙げています。 アントニアさんは、今の仕事を辞めて古書店を開くことを考えています。それに成功するには、店の前の通行人の0.5%に来店してもらう必要があります。 彼女は、20ドルで表示をつくり、有望そうな通りに立つ建物のドアに両面テープで表示を貼って、自分は通りの向かい側に陣取ります。選んだドアにつき2~3時間ずつ、通行人の数、表示に気づいた人の数、ドアをノックした人の数などをカウントしました。 何日かやってみて、古書店の開業は失望に終わりそうだと結論が出ます。たとえば、ある場所では4千人の通行人のうちノックしたのは3人だけ。別の場所では、もっと多くの通行人がいながら、ノックしたのはゼロだったからです。 アントニアさんは、がっかりはしたものの、見込み客のデータを少ない出費で集め、検証することができ、会社も辞めずに済んでほっとしてもしています。そして、古書店はオンラインで展開するほうがいいかもしれないと、思いはじめています。