アイデアの90%は失敗する。だから覚えておきたい「低リスクで成功を見極める戦術」2つ
「意見」は嘘をつく、「事実」だけに耳を貸せ
本書に登場するプレトタイピングには、ほかにも「ピノキオ」型や「潜入者」型など全部で8種類あり、いずれも低予算・短期間で市場性の有無を判断するデータが得られるものとなっています。 ただし、「有益なデータは、自分が実現しようとしているアイデアにどう影響があるか、きちんと分析」することが大事だとも、サヴォイア氏は力説します。さもないと、データを読み違え、足元をすくわれる結果になりかねません。 その指標の1つが、アイデアに「身銭」を切ってくれるか、というもの。プレトタイピングについては、それは必ずしも金銭ばかりではありません。 たとえば、開発者本人は画期的な発明と思っている製品を「メカニカル・ターク」型のプレトタイピングで、デモを行なったとします。 それを見た周囲の何人もが「すばらしいアイデアだ」あるいは「そんなの誰も買わないね」とコメントします。あるいは、ネットの中で発表して、「いいね!」あるいは「よくないね」などとSNSで評価されます。 こうしたコメントや反応は、「まったく価値がない」と、サヴォイア氏は述べています。さらに、アンケートやインタビューも同様で、「身銭」の観点からすると評価ポイントはゼロ。判断材料の指標には、ならないというわけです。 一方、(使い捨てでない)有効なメールアドレスや電話番号を教えてくれるのは、最低限の「身銭」とされます(それぞれの評価ポイントは1と10)。つまり、買う意向はありそうだという意味です。 さらに、30分ものデモを終始見学してくれるなど、時間というかたちで「身銭」を切ったのなら30評価ポイント、現金をデポジットしてくれたら50評価ポイントへと跳ね上がります。そして、予約注文をしてくれたら、250評価ポイントと最高の値が与えられます。 加えて、プレトタイピングは1回だけやってみて結論を出すのでなく、微調整・改善をしながら複数種(最低でも3~5種)行なう必要もあるそうです。 初回で「いきなり顔面パンチをくらう」のは、よくあること。打たれるたびに改善をしていき、「反撃」へと移ることで、アイデアの実現性は高まるわけです。 約350ページの大部の本書で解き明かされている事柄は、もちろんこれだけではありませんが、新製品・サービス・新事業を世に出したいと考えている人には、極めて有用な内容となっています。熟読し、実践してみることをおすすめします。 ──2020年7月17日の記事を再編集のうえ、再掲しています。 執筆: 鈴木拓也 Source: サンマーク出版
ライフハッカー・ジャパン編集部