美術家の飯山由貴らが「行政による人権侵害を考える会・関東」を発足。朝鮮人労働者追悼碑撤去問題、《In-Mates》上映不許可問題などを問う
「上からのレイシズム」に抗うため、草の根の活動とともに、行政に対して働きかけていく
2022年に東京都⼈権プラザで開催された、飯⼭由貴の企画展「あなたの本当の家を探しにいく」で、映像作品《In-Mates》(2021)の上映が、東京都総務局⼈権部により上映が禁⽌される事件が起きた。飯⼭は、東京都に対して活動を続けてきた。 憲法には「検閲は、これをしてはならない。」と記載されています。2年が経ちますが、この言葉の重さを様々な場面で感じます。《In-Mates》の検閲は、上を見て物事を判断する組織体制のなかで起きた事件であると同時に、小池都知事が関東大震災の朝鮮人虐殺の追悼式典に追悼文を送らないことがその要因であると考えています。 「上からのレイシズム」という言葉があります。マイノリティに対して「その差別はない」という上からの否認がある限り、市民が下から感覚を変革しても、別の差別的感情が「本音」という建前で語られ続けてしまう。草の根の活動を行うとともに、行政に対しても働きかけを行っていきたいと思います。(飯山)
「運営交付金の交付は、人権の問題ではない」と言われてしまうことの怖さ
京都生まれの在日朝鮮人三世であり、埼玉朝鮮学園の理事である金は、埼玉県人権・男女共同参画課による朝鮮学校差別問題について言及した。 2010年に県の補助金が停止された。補助金再開についての交渉の際、埼玉県人権・男女共同参画課の課長から「運営交付金の交付は、人権の問題ではない」という発言があり、その後も補助金不交付は学事課が所管する私立学校運営補助金の制度運用上の判断であるとして、交渉を拒否し続けているという。 人権侵害をされている外国人として、人権を統括する部署にお願いに行った時に『あなた方の問題は人権の問題じゃない』と言われてしまうことの怖さを感じました。危機感を覚えて、仲間たちと会の結成に至りました(金) また、同じくメンバーである朴順梨、渡邉元貴からメッセージが寄せられ、神奈川県相模原市の人権尊重のまちづくり条例の制定過程における問題や、小池都知事が関東大震災の朝鮮人虐殺の追悼式典に追悼文送付を見合わせている理由のなかにある「すべて」という言葉が覆い隠してしまうものについて言及した。