なぜ「キャッシュレス決済」が後押しされてるのに、「新紙幣」が発行されるんですか? 将来的に“現金”が使われなくなるなら、意味はないのではないでしょうか…?
2024年7月3日、新紙幣が発行されました。一方で、政府は現金決済からキャッシュレス決済への転換を後押ししています。消費者の中には「キャッシュレス決済が進んでいるのに新紙幣が必要なのか」と疑問を持つ人もいることでしょう。 本記事では、キャッシュレス決済の普及促進の内容に加え、新紙幣発行の理由などを、分かりやすく紹介します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
キャッシュレス決済の普及に向けた取組
キャッシュレス決済の普及に向けた取組は、2018年4月11日のキャッシュレス検討会で策定された「キャッシュレス・ビジョン」で宣言されたものです。政府は、2025年の大阪・関西万博までにキャッシュレス決済の比率を40%にし、将来的には世界最高水準の80%を達成することを目標にしています。 日本のキャッシュレス決済比率は、2010年の13.2%から現在の30%台%へと大きく成長しました。しかし、世界主要国の中ではキャッシュレス決済比率は10位で、1位の韓国(95.3%)から大きく離れています。 いまだ計画を推進する必要があることから、経済産業省では、消費者、事業者それぞれに向けて説明資料を作るなどキャッシュレスの利便性をアピールし、利用者がメリットを感じられるよう対策しています。 また、さまざまな省庁からキャッシュレス導入などの支援策が出され、補助金など多くの施策が行われているようです。経済産業省が2024年3月にまとめた支援策の一例は以下のようなものです。 1.事業者のキャッシュレス決済導入支援 2.地方公共団体のキャッシュレス決済導入支援 3.医療機関のキャッシュレス決済導入支援 4.観光地の消費拡大のための支援
なぜ紙幣は刷新される?
キャッシュレス化が進められているなかで、2024年7月3日に新紙幣が発行されました。紙幣の改刷の歴史は長く、日本の紙幣は江戸時代以前から発行されていましたが、常に偽造紙幣との闘いがつきまとっていました。 江戸時代に全国の藩で「藩札」が発行されましたが、その頃からすでに偽造防止技術として「複雑な木版印刷」「微小な隠し文字」「すかし入りの用紙」「着色した用紙」など、さまざまな工夫がなされています。 1881年より現在のような「人物の顔写真」が印刷された紙幣になりました。昭和以降の近年では、財務省・日本銀行主導のもと、おおむね20年ごとに紙幣が改刷されています(福沢諭吉の1万円札は約40年間使用)。 いずれも紙幣改刷の主な目的は偽造防止です。2024年の改刷で、注目すべき点は2つあります。 1.新たな偽造防止技術 2.改善されたユニバーサルデザイン 前回の改刷から印刷技術が大幅に進歩し、新たに「3Dホログラム」「すかしの肖像の周囲に加わった高精細すき入れ模様」という技術が追加され、より偽造しにくい紙幣が作られました。 また、ユニバーサルデザインとは「誰もが使用しやすいデザイン」のことで、目の不自由な人などのために以前から取り組まれていました。今回の改刷では、より使いやすくするために、額面数字大型化などの工夫がされています。