「スクワット1日1000回、キックは10日で1万回」愛弟子が明かす長与千種のスター性「長与さんは一番大事なことを一番最初に教えてくれた」
長与千種とライオネス飛鳥。後輩たちが、その凄さを語った。長与が示した魅せるプロレス。飛鳥ならではの万能な対応力。全く異なる、2人の資質に迫る。 発売中のNumber1109号に掲載[後輩たちの証言] 里村明衣子/立野記代「長与と飛鳥、それぞれの才能」より内容を一部抜粋してお届けします。 【貴重写真】芸能人水泳大会ではしゃぐ長与千種、「いいとも!」でタモリと並ぶクラッシュ・ギャルズ、見たことある?全女伝説レスラーの現役時代を、貴重写真で振り返る。
愛弟子が語る長与千種&ライオネス飛鳥
ダンプ松本の“ヒール覚醒”を描いたドラマ『極悪女王』における、もう一人の主人公が長与千種だ。ダンプのライバルにして、練習生時代の親友。女子プロレス史上最高のカリスマでもある。 長与とライオネス飛鳥のタッグ、クラッシュ・ギャルズは日本全土に大ブームを巻き起こした。その中で生まれた2人の衝突も、劇中では描かれている。 どちらも一度はリングから離れた長与と飛鳥。しかし復帰を果たし、長与は自身の団体ガイア・ジャパンで後進の育成にも努めた。一方の飛鳥は復帰後、ヒールとして女子プロレス界のトップに。本稿では『極悪女王』には登場しない“愛弟子から見た長与千種”、“後輩から見たライオネス飛鳥”に迫りたい。 「いま思うと、長与さんは一番大事なことを一番最初に教えてくれました」 そう振り返るのは里村明衣子。1994年に設立されたガイアの一期生として“驚異の新人”と呼ばれ、センダイガールズプロレスリングの代表である今は“女子プロレス界の横綱”の異名を持つ。そんな名レスラーの原点にあるのが、長与の指導だ。
長与が教えたレスラーの心得
「最初の教えは『リングに上がったら相手に恨みつらみを抱くな』というものでした。道場でのスパーリングが激しくなって髪を掴まれたりすると、どうしても感情的になってしまう。でも感情的になって相手にケガをさせてはいけない。『それはレスラーのやることじゃない』と」 プロレスでは、感情が先走って相手にケガをさせてはいけないし、自分がケガをしてもいけない。ただプロレスラーなら“ケガはつきもの”という覚悟もある。 「試合や練習の中でケガをしても、絶対に相手のせいにするなと長与さんに教わりました。プロレスは相手がいて成り立つ。すべてはお互い様なんだと」 基礎体力や受身と同時に、長与は弟子たちにプロレスラーとしてあるべきスタンス、いわば“プロレス学”を教えていった。表現の幅を広げるために、選手たちを宝塚歌劇団の舞台に連れていったこともある。 「長与さん自身は、つかこうへいさんのお芝居に出た経験が大きかったと言ってました。あらゆる経験から吸収してプロレスに活かすし、それを私たちにも教えてくれる。練習中、長与さんが2時間くらい話している時もありましたね」 そもそも練習が毎日8時間あった。それに朝練90分が加わる時期も。週に一度の「追い込みの日」にはスパーリングを70分。10分×7人との対戦だ。受身や蹴り込みに関しては「たぶんどの団体よりも多くやってました」と里村。 「スクワットは月曜日、スパーリングの後に1000回やってましたね。そこから火曜が800回、水曜が600回と減らしていって、日曜が休みで月曜からまた1000回。蹴りは1日1000本が基本です。ミドルキック50連打を10セットやったら500本。そこで次の蹴りに移る。10日で1万回ですよね。それを続けて、ようやく思い通りに蹴ることができるんです」 自分は長与千種のようなスターにはなれない。里村はそう考えてきた。ただガイアで長与に教わった練習とプロレスに対するスタンスだけは受け継いできたという。 「ガイア時代に付き人をしていると、長与さんが行くところ、歩くところにもの凄い人だかりができるんです。それをかき分けるのも付き人の仕事で。スポーツカーに乗っている姿もかっこよかった。でもそれは一種のパフォーマンス。本当は贅沢に興味がない人なんです。食事に行くと周りに美味しいものを食べさせて、自分ではあまり食べてなかったですね」 ガイア解散後、長与は2014年にマーベラスを設立。彩羽匠、桃野美桜といった新たな強豪を育てている。マーベラスの大会では、リングサイドで生配信用のカメラを自ら操る長与の姿が見られる。 「私としては、もっとどっしり構えててほしいんですけど(苦笑)。でも、それも長与さんの凄さ。団体の規模に合わせて、手が足りなければ自分で何でもやる人なんですね。大スターだった自分をあっさり捨てることができるんですよ」 やることすべてが人目を引く、天性のカリスマだけが長与千種ではないのだ。里村は、長与が「自分はスターじゃない」と言っているのを聞いた。なぜなら「努力してここまできたんだから」。
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