ふだん温厚な親が「とんでもないこと」をわが子に口走ることも 10月、11月が中学受験の「魔の月」と呼ばれるワケ
中学受験における小6の10月、11月は「魔の月」――。そう語るのは、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。子どもは学校や塾、入試に向けた勉強で大忙し。一方で親は、あと3、4カ月で「これもやらせなきゃ、あれもやらせなきゃ」と焦るあまり冷静さを失ってしまう時期だといいます。「魔の月」が訪れる理由について、安浪さんに聞きました。 【マンガ】中学受験「全落ち」した子はかわいそう? 大人の“勝手な思い込み”に気づかされた、子ども同士の会話(全35枚) ■10月、11月は塾、模試、過去問などタスクが多くなる時期 ――小6の10月、11月は、中学受験をする子どもにとってどんな時期ですか? 子どもにとっては、すごく忙しい時期になります。その理由は三つ。まず一つ目に、塾の拘束時間が長くなります。いつもの授業に加えて志望校対策の特訓授業が始まったり、オプション講座もたくさん出てきたりします。 二つ目に、模試の回数が増えます。今までは1~2カ月に1回だったものがひと月に2回になったり、志望校によっては別の模試を受けたり、学校名のついた模試を受けることも。なかには、午前と午後ダブルで模試を受けるという子もいます。 三つ目に、この時期から過去問に取り組み始めます。過去問ってとても時間がかかるもので、4科目やると解くのに半日、答え合わせや間違い直しもすると1日かかってしまうこともあります。 ――学校もあるし、すごく大変ですよね……。 そうなんです。お子さんは日々忙しくなってどんどん疲弊していきます。寝る時間も削られ、目にクマができている子もいます。塾で体力を使うだけではなく、テストや模試では結果が返ってくるたびに偏差値や合格判定で現実を突きつけられて、いっぱいいっぱいになっていきます。 一方で、この時期の子どもたちは、まだ「入試がさし迫っている」とは感じないことが多いんです。そのため、志望校の過去問も雑に解いたりしてしまいます。本来、過去問はものすごく大切なものなのですが、テキトーにやって点が取れなくて、それでもあんまりショックを受けていなくて、「なんとかなるっしょ?」と言ったりする。その一方で親御さんは、「あなたが行きたいって言ってる学校なのに何なの、この雑な解き方は!」「これだけしか点数が取れないなんて……併願校をイチから組み直さなきゃ!」などと焦ります。