フランス債の再購入は時期尚早、大手債券ファンドは仏資産に懐疑的
(ブルームバーグ): 世界の大手資産運用会社は、フランスの政治的不安定が経済成長と財政の見通しを曇らせているため、フランス資産への投資に前向きになるのは難しいと指摘している。
アリアンツ・グローバル・インベスターズ(GI)やアバディーン、フランクリン・テンプルトンは、先週後半のフランス資産の急上昇について懐疑的だ。来年の予算を巡る政治的駆け引きが長引き、膨れ上がる財政赤字を抑制する有意な取り組みを阻んでいることが理由。
アリアンツGIの債券部門のジュリアン・ルベロン最高投資責任者(CIO、ロンドン在勤)は、フランス市場を揺るがしている不安定を「前代未聞」と表現。この状況は「短期的にはさらに悪化する可能性がある」とみており、その結果債券スプレッドは拡大するだろうと述べた。
同氏とアバディーンは、フランス債のドイツ債のスプレッドが再び1ポイントに近づくかそれを超えると予想している。前回スレッドがそれほど大きくなったのは10年以上前のユーロ圏ソブリン危機のさなかだった。
フランスでは先週、予算を巡る攻防で不信任案が可決され内閣が倒れた。マクロン大統領は今後数日のうちに新首相を任命する見通しだが、次の議会選挙は早くても来年7月になる。
極右政党を事実上率いるマリーヌ・ルペン氏が「数週間以内」に予算案がまとまる可能性を示唆したことで先週はフランス債が上昇した。しかし多くの投資家は一時的な反発に過ぎないとみている。
フランクリン・テンプルトンの欧州債券責任者、デービッド・ザーン氏は「新政権は現政権と同様に議会での支持基盤の弱さという問題を抱え、特に予算案の可決について引き続き困難に直面する可能性が高い」とし、「フランスの政治的不確実性は2025年の議会選挙まで続くと予想される」と述べた。
同氏は、フランス国債を「大幅にアンダーウエート」にしている。トランプ次期米大統領が公約通りフランス製品に高関税を課した場合の逆風についても警告した。