値上げナシ!でも売り上げ3倍「サラダコスモ」躍進の秘密を徹底分析
失敗しても諦めない~意外な新商品で大逆転
これまで数々の難局を乗り越えてきた中田だが、断念した事業もある。それがヨーロッパ原産のちこりの国産化だ。 種芋を暗がりの中で発芽させる栽培法はもやしと一緒。自分たちならできると、赤字続きの中、16年間取り組んできた。しかし、コロナで飲食店からのニーズも激減し八方塞がりに。やむなく撤退を決めた。 「なんとか自前で作って国産化して、日本の野菜として定着させたかったけど、勘定に合わないことはできない。打ちのめされた気分、悔しい」(中田) そんな失敗を乗り越えようと、社員一丸となってある物を作り売り出した。それが「ちこり村」の新名物「栗きんとん生食パン」だ。
「栗きんとん」は中津川名産の和菓子。買えば1個300円ほどだが、これを1斤の中に7個も入れた。それで1800円は、「高いけど安い」と評判に。ネット販売もあるが、焼きたてを求め、客が殺到。多い日には1400本が売れる大ヒット商品となった。 サラダコスモはここでも利益を生み出す仕組みを構築している。製造の現場にいたのは経理部長・竹田淳史。新施設開発担当者や営業部兼人事課長も手伝っている。社員が協力することで余分な金を使わず、利益を確保。「管理部門も現場を知れていい」と言う。 自前で何とかする現場は他にもある。大型プリンターを60万円で購入し、印刷していたのは街道沿いに張る自前の宣伝看板。手作りだからいつでも張り替えられ、コストは10分の1になった。
お金をかけず、アイデアでヒットを掴んだ新商品もある。 「ある社員が『ペヤングとコラボは面白いんじゃないか。もやし麺にしたら糖質オフになるし』と」(営業部・曽根暢啓) 作ったのがパッケージもそっくりの「ペヤングやきそば風もやし炒め」(170円)。「麺なしソース込み84.1キロカロリー」と書いてある。
その曽根がこの日、初めて中田にプレゼンするのは「ペヤング激辛MAX もやし炒め」という新商品。 「冗談も休み休みやった方がいいんじゃないか。私の価値観からすればこれは無理。売れないぞ」と言っていた中田だが、食べてみたら「うまい、辛い」。中田のOKを取り付け、3月6日の発売が決定した。 「僕がいくら手綱を引き締めようと思っても、全然関係ないところへ飛んで歩くんだから(笑)」(中田)