値上げナシ!でも売り上げ3倍「サラダコスモ」躍進の秘密を徹底分析
値上げはしたくない!~安いもやしで儲ける秘策
〇値上げせずに儲かる秘策1~巨大工場で効率化 3年前の冬、岐阜・養老町の選び抜いた場所に巨大な新工場、サラダコスモ養老生産センターをオープンさせた。そもそももやしは緑豆、大豆などの豆から出てくる芽の部分。日の当たらない暗い場所で水を与えるだけで1週間から10日で勝手に育ってくれる。新工場も基本的な製造方法は従来と変わらないが、随所に人手を減らす工夫を施した。 もやしのパック詰めの自動化は他の工場でもやっているが、ここでは箱詰めも自動化。独自に機械を開発して導入した。こうした効率化で人件費を50%削減した。 屋上に上れば、太陽光パネルがズラリ。もやし作りは電気代がかさむが、これで25%削減した。
〇値上げせずに儲かる秘策2~残り物には福がある。 処理する前のもやしには豆の殻と根っこがついており、これを工場ではスライサーのようなものに流して取り除いている。「約2割はゴミが出る」(養老生産センター長・原勝美)と言う「もやしカス」は、1日20トンというとんでもない量になる。 その処理にひと月1000万円かかっていたが、設備投資を行い、逆にお金を生むようにした。「もやしカス」が運ばれた先は愛知・半田市の酪農家「エル・ファーム・サカキバラ」。ここで牧草やトウモロコシなどに混ぜられ、乳牛のエサになるのだ。 牛のタンパク源として輸入の大豆カスをエサに混ぜていたのが、「ロシア・ウクライナの戦争で輸入する飼料が値上がりして困っていた時に『もやしカス』を見つけることができた」(榊原孝樹さん)。これで牛乳の品質は以前と変わらず、1カ月のエサ代を70万円減らすことができた。酪農家は大助かりだ。 一方、サラダコスモは設備投資に約1億円を投じたが、月1000万円かかっていた処理費用は900万円削減。投資分は1年で元が取れる計算だ。 「これなしでは工場の運営は考えられないです」(原)
さらにサラダコスモは収益の新たな柱となる商品を生み出していた。それがスーパーなどにズラリと並ぶ「カット野菜」だ。 「カット野菜をやろう」と言い出したのは宇都宮工場長の牧島直樹。小売店との付き合いで「もやしだけでは未来はない」と感じ、2013年、カット野菜を作り始めた。 その時、中田からは「こんなに後発で始めて、この商売を日本一にするつもりがあるのか?」という言葉をかけられた。そこで他のメーカーと差別化すべく、できるだけ国産野菜にこだわって作った。そのこだわりが消費者に支持された。業界最後発からのスタートだったが、中田の言葉を見返すように、「ニラ野菜炒め用ミックス」などの加熱用カット野菜は売り上げ日本一になった。 こうした取り組みで、10年前に73億円だったサラダコスモの売り上げは今や203億円に。逆風の業界で成長を続けている。 「普通の方法で経営をしていたら値上げしかない。社員の待遇を上げる。もっと品質を高める。もっと安く売る。この3つのテーマを同時に解決できる会社、人でなければ、生き残っていけないと思う」(中田)